騒音のレベルを表す単位がdB(デシベル)です。
dBの足し算ってどうやるかご存知ですか?
この記事では、簡単にdBの足し算をする方法を解説したいと思います。
是非参考にしてください!
*なお、この記事は「めたのさえたのブログ(理系じゃけん)」の 騒音の単位 dB(デシベル)の足し算ってどうやるの? 簡単に足し算する方法! という記事を抜粋したものです。
デシベルは単純に足し算できない
dBは単純に足し算できません。
50dB + 50dB = 100dB
とは、ならないのです。なぜでしょうか?
騒音の世界でよく用いられるdBは対数だからです。
具体的には、デシベルは以下のように計算します(ここで”^”は乗数を表しています。A^2とはAの2乗という意味です。)。
LpA = 10log(pA^2/p0^2)
= 20log(pA/p0)
なお、それぞれの文字の意味は以下の通りです。
LpA : 騒音レベル(dB)(A特性の音圧レベル)
pA : A特性音圧 (Pa)(周波数ごとの重み特性Aをかけた音圧)
p0 : 規準音圧 (Pa) (2×10^-5Pa)
対数同士は単純に足し算できませんよね。
ですから、
50dB + 50dB = 100dB にはならないことはわかっていただけると思います。
さっきから、【A特性】ということばが出てきますが一体何なのでしょうか?これも騒音の基本用語なので、簡単に説明しておきたいと思います。
A特性とは何なの?
人間の耳は、周波数によって同じ音圧(音の大きさ)であっても、「大きい音」と感じたり「小さい音」と感じることがあります。具体的には、人間の耳は4kHz付近の音を最も感度よく聞くことが出来るとされています。これより周波数が低くなっても大きくなっても、「音が小さい」と感じます。
1000Hz(1kHz)の時の70dBを基準にして考えてみましょう。
同じ70dBでも、
- 500Hzでは、67dB相当に感じる
- 4000kHzでは、71dB相当に感じる
など、周波数によって実際に感じる音の大きさには差があります。この「実際の音圧レベルと、人間の感覚の差を埋めた」のがA特性の音圧レベルなんです。その補正値については、「JIS C 1509」に記載されています。その内容を以下に抜粋しておきます。
周波数(Hz) 補正値(dB) 20 -50.5 25 -44.7 31.5 -39.4 40 -34.6 50 -30.2 63 -26.2 80 -22.5 100 -19.1 125 -16.1 160 -13.4 200 -10.9 250 -8.6 315 -6.6 400 -4.8 500 -3.2 630 -1.9 800 -0.8 1000 0.0 1250 0.6 1600 1.0 2000 1.2 2500 1.3 3150 1.2 4000 1.0 5000 0.5 6300 -0.1 8000 -1.1 10000 -2.5 12500 -4.3 16000 -6.6 20000 -9.3
結局どうやってdBの足し算をするの?
さきほど説明させていただいた通り、dBは対数なので、単純に足し算することはできません。dBを計算しようとすると対数の計算をしなければなりません。それって面倒くさいですよね。ですので、簡便にdBの足し算をする方法が存在します。
資格試験や実務では、この方法で足し算をしてほぼ問題ありません。
以下の流れで足し算します。
- 足したいdBの差(レベル差)を計算する
- dBの和の補正値の表を参照する(以下の表)
- 大きいほうの騒音dBに補正値を足す
- この数値がdBの足し算をした数値になる
表-1 デシベル(dB)の和 補正値表
レベル差(dB) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
補正値(dB) | 3 | 2 | 1 | 0 |
具体例
分かりずらいので、具体例で考えてみましょう。
(1) 60dB + 60dB
①足したいdBの差(レベル差)
60 - 60 = 0
②レベル差が0(ゼロ)の時の補正値は表-1より3dB
③60 + 3 = 63dB
④ 答え:63dB
(2) 74dB + 60dB
①足したいdBの差(レベル差)
74 - 60 = 14
②レベル差が10以上の時の補正値は表-1より0dB
③ 74+0 = 74dB
④ 答え:74dB
(3) 70dB + 70dB + 70dB
①足したいdBの差(レベル差)
70 - 70 = 0
②レベル差が0(ゼロ)の時の補正値は表-1より3dB
③70 + 3= 73dB
④足したいdBの差(レベル差)
73 - 70 = 3dB
⑤レベル差が3の時の補正値は表-1より2dB
73 + 2 =75dB
⑥ 答え:75dB
デシベルの和の問題は公害防止管理者試験でよく出題される内容です。公害防止管理者(騒音・振動)を受験される方は必ず覚えておきたいですね!