公害防止管理者等国家試験は、毎年1回10月初旬に実施されます。
これは私が、公害防止管理者受験対策kougai.netを運営し始めたときから、ずっと変わっていないと記憶しています。
現行の制度に変わる(平成18年度)以前から、年1回の実施でした。
この試験の実施が年1回というのは、果たして適切なんでしょうか?
そんな時、面白い報告書を見つけました。
それは、「公害防止管理者制度の今後の在り方に係る調査報告書」というものです。
これは、
昨今の社会情勢等の変化も踏まえ、改めて我が国企業における公害防止管理者制度の現状や課題等に関する実態把握を行い、今後の資格取得制度も含めた公害防止管理者制度の在り方に関する提言を行うことを目的
として調査された報告書です。
この報告書の中に、国家試験の実施回数と時期についての項目がありました。
一般的には試験回数や時期などがどのように思われているのか、報告書から読み解いていこうと思います。
どのような事業者にアンケート?
さて、この報告書は一体どのような事業者にどれくらいアンケートをお願いした結果なんでしょうか。
報告書によれば、産業環境管理協会が保有する特定工場リスト(約 17,000 件)と、公表されている PRTR 事業者のデータから大企業 100 社、中小企業 500 社の合計 600 社にアンケートを実施したようです。
このうち、期限までに回答があった事業者は257件で、うち大企業が112件、中小企業が145件でした。
アンケート結果は?
さて結果はどうだったのでしょうか?
(公害防止管理者制度の今後の在り方に係る調査報告書より引用)
アンケートの結果、実施回数及び時期が適切であるとの回答は、43%でした。
一方で実施回数が不足や回数を増やして欲しいという意見は53%と半数以上でした。
さらに、実施回数が不足や回数を増やして欲しいという意見の内訳を詳しくみると、大企業では58%、中小企業では48%となっていました。
特に、大企業では今の試験の実施回数に不満があるようです。
以上のようにアンケートの結果からは、実施時期に関して時期が合わないという意見は少なく、試験の実施回数を増やして欲しいという要望が多かったようです。
では、一体年に何回実施してほしいのでしょうか?
上の表からわかるように、実施希望回数は年2回という意見が多いようです。
年1回の実施だと、もし不合格だった場合は1年間試験を受けるまで待たなければいけません。
公害防止管理者の有資格者が必要な場合、年1回の試験だと確保するのが難しく、事業者としては困るのかもしれませんね。
この他、実施回数や時期以外にも、地方開催を望む意見もあったようです。
地方在住の場合、資格試験を受けに行くのに困難なことが多々あります。
例えば以前、管理人 めたのさえたは試験を受けに行くのに、始発の電車に乗っても試験開始時間に間に合うかどうか微妙になり、結局前泊して試験を受けたことがありました。
詳しくは、「資格試験 受検のための宿情報」をご覧ください。
こういう受験者が少なくなり、試験を受けるハードルが少しでも下がるためにも、色んな地方での開催が望まれるのも最もなことだと思いました。
年々、公害防止管理者等国家試験の受験者の数は減ってきています。
(詳しくは、『公害防止管理者 過去試験の合格率データなど(昭和46年度~令和3年度まで)』をご覧ください。)
もしかしたら、実施開催地を増やし、受験しやすくなると受験希望者も増えるかもしれませんね。
「公害防止管理者制度の今後の在り方に係る調査報告書 」から公害防止管理者について色々なことが見えてきます。
これからも、気づいたことを書いていこうと思います。