この記事では、2工程のフローショップのスケジューリングにおける、メイクスパンの最小値の導き方について解説します。
このような問題は技術士試験(主に経営工学)において出題されています。
関連する資格受験を検討されている方 および 生産管理に興味がある方向けに作成しました。
技術士二次試験(経営工学部門)に出題された問題
2工程のフローショップを考える。各ジョブ各工程の加工時間(時間)が以下の表のように与えられたとき、メイクスパンの最小値として最も適切なものはどれか。
解き方は以下の流れです
このような問題は以下の流れで解いていきます。
(1)ジョブリストの中から、最小の作業時間を見つける
(2)その時間が1工程目であれば、
そのジョブを順序の最初に持ってくる。
2工程目であれば(3)へ進む
(3)最小時間が、2工程目の場合は、
そのジョブを最後の順序に持ってくる。
(4)当該ジョブをリストから削除する
(5) (1)から(4)を繰り返す。
(6)ジョブリストのすべての順番が確定したら、
図を描いてメイクスパンを計算する。
少しイメージしにくいでしょうか?
それでは、実際に解いていこうと思います。
実際の解き方
- まず、表中から最小の作業時間を見つけます。
すると、ジョブAの2工程(2時間)であることが分かります。
- 最小の作業時間が2工程である場合には、
そのジョブを一番最後に持って行きます。
つまりジョブAは一番最後(3番目)に処理されることが分かります。
- ジョブAの順序は決まりましたので、表からジョブAを削除します。
- 次の最小時間は、ジョブCの第1工程(3時間)です。
第1工程の場合は、順序の先頭に持っていきますので、ジョブCは一番最初(1番目)に処理されることが分かります。
- ジョブCの順序は決まりましたので、表からジョブCを削除します。
- 残ったジョブBは必然的に2番目に処理されることになります。
- これで、ジョブの処理順番が、C → B → A であるこことが分かりました。ここからは図を描いて、整理してみます。
各ジョブとも、1工程が終わらないと、2工程へは進めません。
このため、2工程は待ちが発生します。
赤い点線は、待ち時間を示しています。 - 最小の処理時間は、2工程に着目して、3+4+1+5+1+2=16時間となります。
つまり、16時間がメイクスパンの最小値となります。
技術士試験ではこのような問題が出題されることがあります。
また、PERT図に関わる問題も出題されますので、参考にしてください。
スケジューリングを制する者は生産管理を制する
生産管理の分野ではスケジューリングは非常に重要です。
まさに、スケジューリングを制する者は、生産管理を制すると言っても過言ではないでしょう。
ガントチャート、PERT図、TOC理論に基づいたボトルネック管理・・・等、様々なスケジューリングの考え方があります。
また、根本的なところで「プッシュ生産」「プル生産」どちらを選択するかという問題もあります。
手法としては「かんばん方式」を取り入れる会社もあります。
これらのスケジューリング手法を十分に理解して、生産管理を制していきましょう!
このような用語の勉強には、私が技術士(経営工学部門)を受験した際に利用した教材を購入されて学習されるのが良いと思います。
参考文献
・生産管理の基本としくみ
・アメリカ国防総省直伝 プロジェクト・マネジメント実戦教練ブック
・PERTのはなし―効率よい日程の計画と管理
・計画の科学―どこでも使えるPERT・CPM (ブルーバックス 35)