環境問題が大きくニュースなどで取り上げられる「中国」。
中国によく行く僕には、国家としてこの「環境問題」に取り組んでいるのが非常に良く伝わってきます。逆に、今は「規制が厳しすぎて困っている」ような状況になっています。
どんな状況になっているのか、僕の実体験を紹介したいと思います。
北京市内の自動車規制
これは有名な話ですよね。北京市内に車で乗り入れたり、北京市内で運転する際にはいろいろと規制があります。
例えば、ナンバープレートの数字によってその日は運転できる、出来ない等が決まったりしています。北京以外のナンバーで車で北京に入る場合は、一度手続きをしてお金を払ってから北京に入っている様子を見かけます。
石炭が売っていない!!
冬の中国の北部の田舎では、特に庶民は、暖をとるために石炭を燃やしてあたたまるということが昔は一般的でした。しかしながら石炭を燃やすことで、PM2.5などの環境問題につながるとされ問題視されるようになりました。
そのため、最近では、街で石炭が売っていないんです。
中国の方に聞くと「石炭を売っても、買っても罰金がある」そうです。
このため、石炭の暖房器具が全くつかえない状況となっています。
そのため暖を取る方法がなく、寒すぎて亡くなっている方も多いようです。
「環境問題に対する対策を強化しすぎるために死者が出る」
それが現在の中国の状況なのです。ちょっと日本では考えられない状況です。それだけ中国では環境問題に本気で向き合っているのだと思います。
急に操業停止になる工場たち・・・(涙)
生産管理担当の僕にとってこれは死活問題です。
というのも、環境問題に対する規制のため、以下のような工場がいきなり操業停止になるような経験をしています。
- 製鉄所
- 鋳造工場
- 熱処理工場
- 表面処理工場(メッキ等)
- 塗装工場
- ショットブラスト工場
- 化学工場 などなど
これは、本当に困ります。ちなみに、運悪く(?)僕は上の操業停止の影響をもろに受けてきたという苦い経験を持っています(涙)。
色んな国や会社にとって、中国という国はサプライチェーンの中で非常に重要な役割を持つようになっています。
ですから、色んな影響が出てきています。
例えば、世界No.1の鉄生産量を誇る中国の一部の製鉄所が操業停止になると、世界的に「鉄の生産量」が低下します。こうなると、結果的に世界的に「鉄鋼材料が手に入りにくい」とか「材料の値上げ」の話を耳にするようになります。
取引をしている熱処理工場が操業停止になると、熱処理が必要な部品を中国で調達できなくなります。また、塗装が出来ないので、「仕方がないから塗装だけ日本でやったよ」みたいな話も聞きます。
環境負荷の高いメッキ工場に対する規制はかなり厳しくなっており、きちんとした環境対応が出来ていないメッキ工場の多くは閉鎖におい込まれているようです。結果的にメッキが必要な部品が中国で手に入りにくくなってきています・・・。
これは、ホント笑えません。
いままで、当たり前に買うことが出来ていたものが、ある日突然、買えなくなるのです。
これによって僕も、新しい取引先を中国や他の国、場合によっては日本で探さざるを得ないような経験を何度もしています。
ただし、一般的にすべての工場が操業停止になるというよりは、
- 「ある条件(例えば最新の環境設備を導入する等)を満たせば操業再開OK」
- 一定の期間だけ操業停止してね
- この地域は操業停止だよ
というケースが多いので、中国で全く生産が出来ないというわけではないのですけどね。
中国の環境規制厳しくなって、材料、塗装、熱処理、表面処理などなどすごい難しくなって来てるな。
急に停止になる企業もあって超困る!
— めたのさえた (@kougainet) 2018年11月26日
このような問題がありますから、サプライチェーンをある国や地域に集中させるのはリスクが高すぎるなぁ・・・と実感しております。
中国の環境規制厳しくなって、材料、塗装、熱処理、表面処理などなどすごい難しくなって来てるな。
急に停止になる企業もあって超困る!
— めたのさえた (@kougainet) 2018年11月26日
突然、引越しをさせられる工場たち
政府から、「君たち環境負荷の観点から、ここから出て行って!」と言われる工場が多いです。ですので、「もう何回も工場移転をさせられたよ!」という工場がたくさんあります。
工場を移転するというのは非常に大変なことです。。社員の引越しが伴う場合もあります。設備を移転するだけでも非常に大変です。
中国の工場は、「移転しなさい」と言われると、移転せざるを得ません。
このように強制的に移転させられた工場をたくさん見てきました。本当に大変そうですよ。
環境に対する監視の目もすごい厳しい。
以上のようなことを日本で話しても、
「おおげさに言っているだけでしょ」
と思われる方がい多いです。
でも、すべて本当なんです。しかも監視の目が超厳しいのです。
実際に僕が行ったことがある小さな街では、街に唯一のホテルに政府の環境担当者がずっと駐在していました(そのホテルに僕も宿泊していた)。
そして、毎日のように環境に負荷を与える可能性がある工場を巡回して監視しています。僕も何度も政府の環境担当者を見かけました。
操業を禁止されているのに、こっそり操業していた企業は・・・廃業に追い込まれたという話もよく聞きます。
このように、僕たちが思っている以上に監視の目が厳しい!と言うのが実情です。
実際に日系の企業も摘発されているようです。さすがに僕自身は摘発された経験はありません(よかったー)。
その甲斐あってか、青空が見えるようになってきた
上記のような厳しい環境規制のおかげか、以前では青空が全く見えなかったような大気汚染がひどい地域でも青空が見えるようになってきました!!
これ本当に、数年前とは全く違います。特に冬の北部は大気汚染が深刻でした。でも最近では冬でも青空が見えるようになってきたんですよね・・・。
昔はこんな状態(下の写真)のことがよくありました・・・。
最近では、青い空が見えるようになってきました。
まとめ
- 中国の環境問題も深刻ですが、環境規制が厳しすぎるのも大きな問題です、持続可能な発展と言うのは非常に難しいですね(5分で分かる! ”SDGs” について(各種資格・試験で問われる頻度が高い!です))。
- 中国の環境問題への取り組みは「本気だ」と感じます。近い将来、中国は自らの力で環境問題を克服するでしょう。
- 経営工学部門の技術士で生産管理担当の僕が、これだけ環境問題に振り回されています。このように環境に関する知識は、どんな仕事をしていても大切になってきています。そのような理由で、【一挙公開!】生産管理部門でスキルアップするために必要な資格一覧!!のなかに公害防止管理者、eco検定など環境に関する資格もピックアップしています。