技術士(経営工学部門)の僕。品質管理も専門分野の一つです。品質管理の中でもQC7つ道具は基本中の基本です。QC7つ道具について書いてきました(ヒストグラム、パレート図)が、今回はQC7つ道具の一つである、特性要因図についてまとめてみたいと思います。
特性要因図はQC検定や技術士試験など生産管理系の資格試験に出題される重要な手法です。
生産管理や品質管理の担当者なら必ず抑えておきたいですね。
QC7つ道具とは
「QC7つ道具」とは日本科学技術連盟(日科技連)が命名した呼び方だそうです。
QCサークルやTQCを企業等に導入、推進する際に、現場の人たちが使用し安い手法を選んで「QC7つ道具」というネーミングにして親しんでもらおうという意図だそうです。
QC7つ道具とは以下の7つです。
- パレート図
- 特性要因図
- 層別
- チェックシート
- ヒストグラム
- 散布図
- 管理図
全て、非常に重要な手法です。
今後ブログの中で紹介していくこともあると思います。QC7つ道具に関する本はたくさん出版されていますので参考にしてください。
特性要因図(フィッシュボーン)とは
特性要因図(cause and effect diagram)は「特定の結果と原因系の関係を系統的に表した図」と定義されています(JIS Z 8101-2-1.18)。
品質管理の業界では「結果」は「特性」、「原因」は「要因」と呼ばれます。このように、特性と原因を整理した図なので「特性要因図」と呼ばれるわけです。魚の骨の形に似ているので、「fishbone diagram(フィッシュボーンダイアグラム)」と呼ぶ方もおられます。
以下に代表的な特性要因図の形状を示しています。
特性要因図には、原因解明型と手段解明型の2種類の使い方があります。
特性要因図の作成方法
特性要因図は以下の流れで作成するのが一般的です。
特性要因図作成の流れ
(1)背骨を描いた後、問題として取り上げる特性(結果)を右に記入する。
(2)要因を項目を書き、大骨で背骨につなげる。
なお、要因は一般的には4Mで記載する。4Mとは以下の通り。
- Man(人)
- Machine(機械、設備)
- Material(材料)
- Method(方法)
(3)要因項目を細分化し、「中骨」「小骨」を記載していく
(4)重点項目のマーク
完成した特性要因図に記載した要因の中で、
大きく影響すると思われる要因に○(まる)をつける。
ブレーンストーミング法による要因の洗い出しとは
要因の洗い出しには「ブレーンストーミング法」を用いるのが一般的です。
ブレーンストーミング法とは、関係者が集まって以下のルール(ブレーンストーミングの4原則)のもとに意見を出し合うことです。特性要因図を作成するときは要因について意見を出し合います。
- 他人の意見を批判しない
- 量を重視する(質より量)
- 判断・結論を出さない
- アイデアを結合し発展させる
実際にどのように品質管理業務につかうの?
特性要因図などのQC7つ道具はQCサークルの活動の中で「QCストーリー」の手順の中で使用していくことが一般的です。
QCストーリーとは、QCにおける問題解決に関して、「テーマ」「取り上げた理由」「現状の把握」「解析」「対策の立案」「対策の実施」「効果の確認」「歯止め」「残された問題と今後の進め方」という構成要素に基づく活動、または発表の手順をいう。構成要素に「目標の設定」を含めることもある(Wikipediaより)。
Wikipediaの定義は少しわかりにくいので、「生産管理の基本と仕組み」と言う本の中で示されているQCストーリーの手順を下に記載します。
- テーマの選定
- 現状の把握と目標の設定
- 活動計画の作成
- 要因の解析
- 対策の検討と実施
- 効果の確認
- 標準化と管理の定着
この各ステップの中で適したQC7つ道具を使用します。
以下に、各ステップでどのようなQC7つ道具が使用されるかを示しています(生産管理の基本と仕組みを参考にした)。
No. | ステップ | 使用されることの多いQC7つ道具 |
---|---|---|
1 | テーマの選定 | パレート図 |
2 | 現状把握と 目標設定 |
グラフ |
3 | 活動計画作成 | グラフ |
4 | 要因の解析 | 特性要因図、グラフ、チェックボックス、 ヒストグラム、散布図、管理図 |
5 | 対策の検討と実施 | 特性要因図 |
6 | 効果の確認 | ヒストグラム、管理図 |
7 | 標準化と 管理の定着 |
チェックシート、管理図 |
特性要因図は「要因の解析のステップ」や「対策の検討と実施のステップ」で利用することが出来ます。
このように特性要因図を含む「QC7つ道具」は単独で使用するよりも、職場QCサークルの中で行われるQCストーリーの中で威力を発揮するものです。
この記事を書くために参考にした本の紹介
この記事を書くために以下の書籍を参考にしました。詳しく学びたい方はご活用ください。
高山 均 成美堂出版 2015-12-01
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日本経営工学会 日本規格協会 2002-03
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田島 悟 アニモ出版 2010-12-14
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