技術士(経営工学部門)は何の役に立ちますか?

新年を迎えて、いろんな方が今年の目標についてtweetされています。

その中には、「技術士になるぞ!」という目標を掲げられている方、「公害防止管理者試験に合格するぞ!」「電験三種をとるぞ!」「施工管理技士になるぞ!」など国家試験の合格を目指しておられる方が結構多いです。

そして中にごく稀ですが、

「技術士(経営工学部門)を目指すぞ!」

と言う方もおられるようです。

僕は経営工学部門の技術士なので、そのこと自体は非常に嬉しく感じています。

ただし、「技術士(経営工学部門)」に合格して何の役に立ちましたか?と言われるとちょっと悩んでしまうんです。

正直、仕事で直接役立ったことは”ない”

率直に言って「仕事において直接役立ったことは”ほぼ”ない」というのが感想です。

それに、転職市場を見てみても経営工学部門の技術士の求人は皆無です。

ですから仕事上もしくは転職活動において、この資格が大きく味方をしてくれるということはないでしょう。

時々「技術士持ってるんですね。すごいですね」

と言われる程度です。ある程度の能力を持っている証拠と言う意味では役立っているのかもしれません。

最近、他の経営工学部門の技術士の方を見ていて思うのですが、

経営工学部門の技術士には独立して開業されている方が多い

感じがします。

それに対して「建業法」にかかわる部門のニーズは高い!

それに対して、建設部門、機械部門、電気電子工学部門など建業法にかかわるニーズは非常に高いです。社内でも重宝されているように感じています(施工管理技士や実務経験でもOKな場合もありますが、やっぱり技術士は強い!)。

それに転職市場においても、「引く手あまた」状態です。

建業法に関係のある部門の技術士の方をちょっとうらやましく感じています。

ですから、現在受験する部門を検討されていて、

経営工学部門にするか、もしくは他の部門にするか迷われている場合、

「建業法」と言う視点もいれて考えて見られることをお勧めします。

しかし「技術士である」と言う事実は十分に意味がある

今まで、経営工学部門をさんざんネガってきました。

しかしながら、当然いいことも沢山あります。

全般的に良かったこと

技術士登録をしてもうすぐ半年! 技術士になって感じたメリット・デメリットの中で描いた内容を以下に記載(転機)いたします。

(1)技術士と名乗れること

技術士は「日本五大資格」の一つであるとも言われている難関資格です。

技術系の最難関資格であるとも言われています。その資格をもっていることを宣言して仕事をしていくわけです。

ですから、技術士と名乗って仕事をするとき、以下のメリットを感じています。

  • 相手から信頼される
  • 技術力を証明できる
  • 誇りと責任をもって業務ができる

文部科学省の技術士に関する会議の議事録に、以下の記載があります。

まさに、以下のようなイメージですね。

まずは、国家資格で一級の国家資格、五大国家資格と言われるうちの1つです。これを取ることは技術者レベルの客観的評価、最高の評価をもらえるということ、それから技術力だけではなく技術者倫理を持ったエンジニアとして認定されるということ、それからこういう資格を持っていると、こういう資格を理解しているお客様に対しては信頼も得られるし、したがって誇りも持って仕事ができる(文部科学省の技術士に関する会議の議事録より抜粋

(2)技術士のネットワークの中に入ることができる

技術士には「日本技術士会」という会があります。また、各企業や出身大学によっては独自の「技術士会」が存在しています。僕は日本技術士会をはじめ三つの技術士の組織が入っています。そうすると、技術士同士のネットワークの中に入ることができます。

その中で、以下のようなメリットを感じています。

  • 各分野の専門家の知り合いができるので、自分の専門分野でないことで、困ったことを気軽に相談できることがある。
  • 各種技術士会の行事に参加することで、人脈が築けている
  • ときどきいろんな「おもしろそうな」お誘いがある(僕の場合、自分の出身の学校で子簡単な講演をしてもらえませんか?など)。
  • 皆さんが「第一線」の方なので、ただ、話しているだけでも勉強になる。

(3)技術士としてふさわしい人にならなければ

技術士と名乗るからには「技術士にふさわしい人」にならなければなりません。

ふとした瞬間に先ほどの「3義務2責務」や「技術者倫理綱領」を思い浮かべるようになってきました。そうすると、必然的に技術者として成長していけているのではないかと思います。

たとえば、継続研鑽(CPD)の責務があります。

技術者として、いつも自分を研鑽していかなければ技術士にふさわしい人とは言えません。そのような思いから、最新の動向についていくために勉強しなければなりません。また、国際化が進んでいる現在、英語を含む外国語の学習も必要です。

技術士会のCPD行事にも毎月一回は参加するようにしています。

そのような感覚を感じるのは「技術士になったから」だと思います。

仕事中に、これは「信用失墜行為にあたらないだろうか?」「技術者倫理綱領と照らし合わせて間違っていないだろうか」と自問することが多くなってきています。そうなると、技術力だけでなく、必然的に倫理観も高まっているように感じます。これは技術士になったメリットかなと思います。

他の資格を受験する際に優遇がある(経営工学部門)!

僕はこの恩恵を現時点で全く受けていませんが(笑)、他の資格を受ける際に優遇があります。経営工学部門の技術士に絞って調べてみたので、以下の通り紹介いたします。

  • 弁理士試験:一部試験免除
  • 労働安全コンサルタント:受験資格認定(技術士試験合格者で、生産マネジメントを選
    択科目とする経営工学部門(昭和58年1月1日前の生産管理部門)に係る第二次試験に合格した人は、産業安全一般が免除
  • 労働衛生コンサルタント:受験資格認定
  • 作業環境測定士(一種、二種):受験資格認定
  • 廃棄物処理施設技術管理者:実務経験が1年でも受験可能(受験資格認定)

調べてみるとこれだけでした。しかも赤字以外の箇所は他の部門の技術士でも全く同じ内容です。唯一異なるのが赤字部の部分、「生産マネジメントが選択科目の人に対する優遇」です。労働安全コンサルタントの試験は結構難しいらしいので、この優遇は助かるかもしれませんね・・・。

まとめ

  • 技術士の部門選びは「建業法」を考慮して慎重に考えた方がよい。圧倒的に建業法関連部門の方がニーズが大きい。
  • 経営工学部門は独立系技術士が多い。
  • 「技術士として仕事が出来る」ことは尊い。
  • 労働安全コンサルタントを受験するときに役立ちそうだ。
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