技術者目線で「SDGs」をまとめてみたよ

最近、よく聞くようになった「SDGs」と言う言葉。

僕の子どもたちが通っている小学校でも「SDGs」と言う言葉が使われているみたいです。会社の中でもSDGsを聞くことが多くなってきましたよね。

しかし、実際問題「SDGs」って言う言葉をあまり理解できていない人も多いはず。僕自体もそうでしたから・・・。

しかし最近、僕たち技術者の間でもSDGsというワードがよく使われるようになってきました。特にビックリしたのは、僕が受験した技術士試験(落ちました・・・)の中でもかなりの部門でSDGsおよびそれに関係する内容が出題されたことです(令和初の技術士二次試験は「SDGs」の嵐が吹いていました(受験体験記)!)。

そういうわけで、僕たち技術者もSDGsに無縁ではいられなくなってきていると感じます。この記事では、まずSDGsとは何かをまとめてみます。その後、技術者目線でどのように「SDGs」をとらえていけばよいのかな・・ということについて僕の意見を書いてみようと思います。

皆さんの参考になれば幸いです。

SGDsとは

まず、SDGsの概略を以下に説明したいと思います。

用語:SDGs (読み方:エスディージーズ)

正式名称:Sustainable Development Goals

日本語名称:持続可能な開発目標

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます(外務省HPより抜粋)。

  • 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である
  • 開発途上国だけでなく、先進国も含めた包括的な目標である
  • 17の目標と169のターゲットがある。そして、232の指標(インディケーター)がある
  • 法的拘束力はない。しかし、今後はSDGs関連市場が伸びていく可能性あり。また、今後はSDGsに取り組んでいない企業とは取引しないなど、実質的に強制力を持ってくる可能性がある
  • 世界中(日本国内でも)で広げていこうとしている

SDGsの17の目標とは?

SDGsの17の目標は以下の通りとなっております。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロ
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

なお、これらの目標を3階層(生物圏、社会、経済)に分けて wedding cake modelとして扱うことが多いです。興味のある方は、ググって調べてみてくださいね。

SDGsって儲かるの?

企業として考えると、

「SDGsやるのは良いけどそれって儲かるの?」

という疑問がわいてくると思います。

これについては、はっきりとしたことは言えません。

でも、SDGsと関連している分野は儲かるんじゃないかな・・・

といいうことは言えると思います。

  • 国連はSDGsに対して2030年までに年間2~3兆ドルの予算を投ずる
  • 世界全体でのSDGs関連の市場規模は2016年で年間12兆ドル程度だと言われている
  • 日本も国を挙げて予算を付けて、SDGsに取り組もうとしていること

と言われています。特に7番目の目標である「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に関係するエネルギー関連市場は非常に大きいと言われています。

SDGsをやっているから単純に市場規模が大きくなったとは言えないと思います。

しかし、SDGs関連の市場規模が大きいのは事実です。また、前述したとおり、今後はSDGsに取り組んでいない企業とは取引しないなど、実質的に強制力を持ってくる可能性があることなども考えられることから、

取り組まないわけにはいかない、取り残されていけない!!

という危機感は持たなければならない、と思われます。

どうやって具体的な行動に落とし込んでいくのか?

どうやって、SDGsを具体的な行動に落とし込んでいくのかな?

という疑問がわいてくると思います。

そういう時の参考になる資料を以下に紹介したいと思います。

平成31年度の内閣府の資料

平成31年度の内閣府の資料に以下のような図がありました。

この図では、SDGsにかかわる政府の施策が表現されています。

しかし、「これらの取組みってSDGsという言葉が無くても必要なこと」ですよね。

政府として、

様々な取り組みをSDGsに当てはめて体系的に考えて整理してみた

そして体系的に考えた結果、もっと違うことも見えてきた

という形に見えます。

これからのSDGsってこんな感じだと思うんです。

企業のSDGsもこんな感じ

僕が株主として(笑)、そして私生活でもお世話になっている「イオン」さん。

イオンさんのSDGsのページに以下のような図が掲載されていました。

イオンさんのイオン財団で実施されている環境や社会貢献をSDGsの枠で整理すると以下のようになるんだ・・・ということがわかりやすくまとめられています。

これも、内閣府の場合と同じように、

様々な取り組みをSDGsに当てはめて体系的に考えて整理してみた

そして体系的に考えた結果、もっと違うことも見えてきた

という形なのかなぁ・・・と思います。

技術者がSDGsについて考えるときも同じようなスタンスで良いんじゃないかな?

先ほどの2例から、SDGs具体的に取り組んでいく際に、

様々な取り組みをSDGsに当てはめて体系的に考えて整理してみた

そして体系的に考えた結果、もっと違うことも見えてきた

という形にすればいいのではないか? と書きました。

これは、技術者がSDGsに取り組むときにも言えるんじゃないかなと思います。

例えば公害防止管理者がSDGsに取り組んだら

例えば、僕は公害防止管理者です。

地域の公害防止に取り組んでいます。

その公害防止管理者業務の中でも、SDGsに関連する様々なことに取り組んでいるといえるんじゃないかと思います(笑)。

公害防止管理者が業務の中でSDGsを当てはめようとしているとことを想像してみます(あくまで架空の話です)。

まずは、現状の取組みの中で出来ていることを考えてみます。

3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」には、綺麗な環境を実現することで貢献できている。それに、汚水を綺麗に浄化して流すので、4番目の目標「安全な水とトイレを世界中に」にも貢献できていると思う。それに、温室効果ガスの排出低減にも取り組んでいるので13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」にも取り組んでいるといえる。また、海洋の保全にも貢献できていると思うので14番目の「海の豊かさを守ろう」にも貢献できそうだなぁ。。

出来ていることは、SDGsの中における自分の業務の位置づけを再確認することが出来ます。また、「もっとこうやったら貢献できるのに」という案も出てきます。

例えば、廃水処理のために使用しているエネルギーをもっと少なくして、更に13番目の目標に取り組んでいこう!などの新たな目標が出てくるかもしれません。具体的に、エアレーションタンクで使用しているエアーの量を少なくできれば省エネだよね・・・なんて案が出てくるかもしれません。

次に、出来ていないことで取り組んでみたいことを考えます。

しかし、例えば7番目の目標「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」には取り組めていないなぁ・・・じゃぁ、廃水処理の際にでてくる汚泥をメタン発酵してエネルギーとして使ってみようか!

こうやって、取り組めていない目標にチャレンジするのも大切です!

技術者がSDGsに取り組むときは

このように、

  • 今やっている業務をSDGsの枠に当てはめて考えてみる
  • 貢献出来ていることは、もっとできないか考える
  • 貢献できていないように思えることにチャレンジしてみる

というアクションを続ければ、

技術者はSDGsに貢献できるのではないだろうか?

と思うのです。これが、技術者として一番取り組みやすいかな。

SDGsを企業経営として取り組む場合

上で書いた内容は僕が一人の技術者としてSDGsに取り組もうとした場合のことを想定しています。でも、企業として取り組む場合には国連が提唱しているSDGs Compass にのっとって行う必要があると思います。

SDG Compass の目的は、企業が、いかにして SDGsを経営戦略と整合させ、SDGs への貢献を測定し管理していくかに関し、指針を提供することにある。
SDGs Compass日本語版より

SDGs Compassでは以下の5ステップが提唱されています。

ステップ1 SDGsを理解する

ステップ2 優先課題を決定する

ステップ3 目標を設定する

ステップ4 経営へ統合する

ステップ5 報告とコミュニケーションを行う

この考え方については、興味がある方は「SDGs Compass日本語版」を参考にしてみてください。

まとめ

長文になってしまいましたが(笑)、少しでも皆さんの役に立てば幸いです。

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