ニュース報道の間違いに気を付けよう! コロナウイルス流行の今こそ知っておきたい「ウイルス」と「菌」の違い

コロナウイルス(新型肺炎)の流行が連日ニュースで報道されています。

マスクが全国の店舗から姿を消したり、中国の工場の閉鎖や物流への影響により経済への悪影響が注目されてたり・・・いろんなことが問題になっていますね。世界の経済は中国がなければ、回らない構造になっています。この件が、経済へも大きな景況を及ぼすことは明らかですね。

さて、話は変わりますが、僕は大学生の時の専門は生物でした。

そして、そのなかでも専門はバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス一種)でしたので、多少ウイルスについての知識があります。

一般の報道では「菌」「細菌」「ウイルス」と言う言葉が入り乱れて使用されており、間違って表現で使用されていることもあります。

ウイルスが専門だった僕としては、「ウイルス」と「菌」の違いを説明せざるを得ません(笑)。この記事では、ウイルスと菌の違いを簡単に説明したいと思います。

ウイルスと細菌の最も大きな違いは「細胞」の有無

ウイルスと細菌の最も大きな違いは「細胞の有無」です。

細菌には細胞がありますが、ウイルスには細胞が存在しません。

「ウイルスに細胞が無い」とはどういうことでしょうか?

ウイルスは生物学的には、DNAかRNAを持っているたんぱく質や脂質の膜で包まれた粒子の事を指します。つまり、他の生物と違って細胞を持っていないのです!

細胞を持っていないので、生物学的には「生物」と言えるかどうかも微妙。

研究者によっては、「遺伝情報を持っているマシン(機械)」なんだという方もおられるます。ウイルスは生物と非生物の間に位置するような変な奴なんです。

しかも、環境中にはウイルスのようなの物質がたくさんあり、

どこから「ウイルス」と呼ぶべきなのかも微妙なんです。

なんで、こういう言い方をするかというと、環境中にはウイルス上の粒子がたくさん存在しています。例えば、遺伝子のみを光らせることが出来る核酸染色剤という薬液を利用して、遺伝子の数を数えてみると、非常にたくさんの遺伝子が存在していることが分かります。

でも、それがウイルスなのか、そうじゃないのか? それすらも、分かりません。

なので、そういった遺伝情報だけ持っていて、ふらふらと存在している物質を「ウイルス状粒子(virus like particles)」なんて言ったりします。

ウイルスは宿主(しゅくしゅ)がいないと生きていけない

先ほど述べた通り、ウイルスには細胞がありません。

ですから、「宿主」の細胞を利用して増殖するしか生きていく道はありません。

ウイルスは宿主(ホスト)となる細胞に感染するときに、自分の遺伝情報(RNAやDNA)を打ち込みます。この遺伝情報と宿主の細胞機能を利用して増殖しています。

宿主がいないと生きていけませんので、

ウイルス単体が「なにかをする」訳ではなくて、宿主の細胞を利用して、「なにかをしている」訳です。

宿主がいないと増殖することもありません。

例えば、コロナウイルスの例でいうと、宿主となる人間などの動物がいなくなってしまえば、コロナウイルスは増殖することができず、いなくなってしまいます。

細胞が無いので「抗生物質は効果がなし」!

抗生物質は「細胞を持っている細菌」に対して効くように設計されています。

ですから、基本的には、ウイルスには抗生物質が効きません!

よく、「インフルエンザには抗生物質はきかない」と言われますが、

そういう理屈なんです。

保菌者ではない!

ニュースなどの報道で「コロナウイルスの保菌者」みたいな言われ方をすることがあります。

前述したとおり、ウイルスと細菌は全く別物なので「保者」ではないんですよね。

この辺はニュースでも気を付けて言葉を選んでほしいなと思います。

ウイルスに感染したかどうかどうやって検査しているの?についいても間違った報道が・・・

コロナウイルスに感染しているかどうかは「遺伝子検査」をしているようです。

ニュースで報道されている検査方法を見ていると、おそらく、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用した検査をしていると思います。PCR法とは検体中の特定の遺伝子だけを増やす手法です。

  • 「コロナウイルスが存在していた場合のみ」、「コロナウイルスの遺伝子だけ」を増やすことのできる「PCRの条件」を設定します(プライマーセットの選択)。
  • そして、コロナウイルスの遺伝子が増幅すれば、ウイルスに感染していると判断できます
  • 増幅していなければ感染していないと判断できます。

ニュース報道では、このPCR法についても間違った表現が多いです。

「この検査方法でウイルスが増殖します」

みたいな報道をしていたニュース番組もありましたが、間違いです。

ウイルスの遺伝子が増えているだけです。

PCR法は高校の教科書にも載っている内容です。

興味がある方は高校の教科書を読んでみることをお勧めします。

(以下の資料集のようなものがお勧め!僕もいまでも読んでいます)

ちなみに僕は、学生時代、「遺伝子の部屋」というホームページを読んで理解した記憶があります。

このPCR法、生物を研究している研究室ならかなり保有率が高く、だれでも簡単にできる検査手法です。ただ、一般の病院等にいは無いこともあるので、研究機関との連携した検査が必要ですね・・・・。

【結論】ウイルスと細菌を混同しないでほしい!

ウイルスと細菌を混同しないでほしいです。

正しく理解しておけば、

  • 細菌感染症への対応
  • ウイルス感染症への対応

が別物であることも理解できますし、抗生物質がウイルスに効かない理由だってしっかり理解できます。

一般の市民もある程度ただしい知識をもって、報道に振り回されないようにしたいですね。

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