僕は国内、海外を含め製造現場で仕事をすることが多いです。
製造現場っていろいろな「あるあるネタ」がありますよね。
今回の記事では日本の製造現場でよく観察される「あるある問題」。
「生産現場のパレット問題」について取り上げてみたいと思います!
この内容は以前、「製造現場あるあるネタ 「パレット問題」 」の記事の中でも書きました。しかし、今回このパレット問題を解決するための組織「一般社団法人 Pパレ共同使用会」の存在を知りました。
今回は、この謎めいた組織のことも含めて、新たに記事にしてみたいと思います。
製造現場のパレット問題とは?
僕が言う、製造現場の「パレット問題」とはどんなものでしょうか?
まずは、パレットという言葉になじみのない方もおられると思いますので、紹介します。
パレットとは
パレットとはフォークリフトなどで、部品や製品を運ぶときに使われる道具です。
一つの単位にまとめた貨物を置くための面があり、人手またはフォークリフト等の専用車両により荷役、輸送、及び保管の全てが可能な構造をもつもの。上部構造物をもつものを含みます。種類は、荷台タイプの平(ひら)パレット、ボックスパレット、ポスト(ラック)パレット、シートパレット等があります(日本パレット協会による定義)。
とまあ、言葉で言うとこんな感じなのですが、写真で見た方が早いですね。
下の写真のようなものです。
木のパレット、プラスチックのパレットなどいろいろな素材があります。最近では段ボール素材のパレットも見かけますね。そして、形も様々です。
皆さんも、コストコやホームセンターに行ったときに見たことがあるかもしれませんね。
製造現場のパレット問題とは
僕が言う製造現場のパレット問題とは、
会社の中に「いろんな会社の名前の入ったパレットが入り乱れている」ことです。
例えば、ある町工場では、会社の中に色んなパレットがありました。
- 親会社の名前の入ったパレット
- 自社のパレット
- 近隣の町工場のパレット
- 原材料メーカのパレット
- 全然、関係なさそうな会社のパレット(例えば、機械メーカなのにお菓子の会社のパレット)
- 競合他社のパレット
中小企業だけではなくて、大企業でも同じようなパレット問題を抱えている会社は多いです。
「パレットに会社の名前を書く」ということは、基本的に、
「このパレットの所有権はうちの会社にあるよ」
というメッセージです。だから、本来他社にあるのはおかしいですよね。
どうして、こんなことが起こるのでしょう?
なんでこんなことになるのでしょうか?
なんでこんなことが起こるのでしょうか?
それは「いつも間にか」発生しているのです。
こんな原因があります。
- 部品を納入したり、運搬するときにパレットごと動かす。本来パレットは返却するべきだが返却するのを忘れた。こうしている間に色んなパレットが会社にあふれるようになってきた
- 自社の製品を納入するときに、他社のパレットを使って納入した。そんなことを繰り返しているうちに日本全国、色んな会社に色んなパレットが入り乱れるようになってきた
- なかには「あそこの会社のパレットは使いやすい」などと評判になり、「わざと」返却しなかったり、業界内で流通していることもある
- こんなことを繰り返しているうちに、全然関係のない会社のパレットや、競合他社のパレットまでいろんなパレットが日本全国の会社にあふれるようになってきた。
こんな流れになってきているようです。
そんなことをしているうちに、
どんどんパレットが無くなっていく会社
どんどんパレットが増えていく会社
など二極化がすすんでいる印象を受けます(笑)
これ、生産管理が専門の僕にとっては非常に困る問題です。僕の所属している会社では、パレットがどんどん減ってしまい、困っています。しかも、そのパレットを日本全国津々浦々で発見するんですよね。
そして発見しても「返してくれ」とは言いづらい(笑)
とはいえ、あるべき姿ではないと思う
とはいえ、先ほど書いたように、
「パレットに会社の名前を書く」ということは、基本的に、
「このパレットの所有権はうちの会社にあるよ」
というメッセージです。
他社のパレットはきちんと他社に返すのがモラルのある行動だと思います。
「パレット問題」を解決する組織「Pパレ共同使用会」
このパレット問題に目を向け、その解決を図る組織に「Pパレ共同使用会」という組織があります。実は僕は、この組織について全く知りませんでした。
この組織について知ったきっかけ
僕がある製造現場を眺めていると、以下のような記載があるパレットを見つけました。
譲渡・無断使用一切禁止
一般社団方法人 Pパレ共同使用会 管理
「製造現場のパレット問題」に興味がある僕は驚きました。
このパレット何? そして「Pパレ共同使用会」って何?
そう思ったのが、この組織を知ったきっかけでした。
Pパレ共同使用会とは?
この組織について、公式ホームページでは以下のように説明されていました。
Pパレ共同使用会では、加盟社のビール9型プラスチックパレット(略称:Pパレ)の適切な管理と、Pパレの共同利用促進に向けて取り組んでまいりました。しかしながら、Pパレの未回収・流出は継続的に発生し、近年増加傾向となっています。2012年年間では約33万枚もの未回収・流出が発生してました。そこで、2013年3月に「一般社団法人Pパレ共同使用会」を設立し、組織の強化を図るとともに、社会的な信頼も高めるよう活動しています。
【事業内容】
1.会員からのPパレの維持管理業務の受託
2.Pパレの共同利用に関する準則の策定及び整備
3.会員によるPパレ投入実績の把握及び投入枚数の決定
4.Pパレの利用状況の把握
5.Pパレの不正利用者からの回収
6.Pパレの適正な利用を図るための啓発活動
7.物流合理化のための情報の収集及び研修会の実施
おお!まさに、パレット問題に取り組むための組織なんですね!!
パレット問題解決のためにどんな活動をしているか調べてみました。
- 「パレットに一般社団方法人 Pパレ共同使用会 管理」という表示をする
- この会に所属している企業同士でのパレットの流用・共用は許可している
- 所属していない企業は一切この表示があるパレットは使ってはいけない
- 仮に所属企業外で使用した場合は回収する。また、「通報窓口」のようなものがあり、回収を働きかける
- この会自体は会費および1パレット当たりの使用料金で運営されているようである
- この会に入ることが出来るのは「食品」「飲料」関係の製造業だけのよう
飲料、飲料関係の企業しか入会できないのは残念ですが、
まさに、「パレット問題」解決のための組織がある!
このことに、僕の胸は躍っております。激熱じゃないですか!
パレットの適正仕様に向けた組織があるんだって!知らなかったなあ。
Pパレ共同使用会(https://t.co/QO5iXhPKR3)というらしい。そのパレットを見つけたよ!製造現場あるあるネタ 「パレット問題」 https://t.co/CBshugqq5x pic.twitter.com/IrioznuO9p
— めたのさえた(英会話×筋トレ) (@kougainet) August 19, 2020
そのほかの「パレット問題の解決方法
パレット問題の解決に取り組むためには、
日本の製造業すべての会社が、「パレットはそれぞれの会社の資産である」という認識を持って仕事をすることが必要だと思います。
輪を乱す会社がひとつでもあると、なかなかうまくいきません。
ですから、この記事を読んでくださっている皆さん、
日本の製造業からパレット問題を解決するために、
- 他社のパレットはきちんと他社に返しましょう
- 自社のパレットには必ず名前を書きましょう
- パレットにシリアルナンバーをつけてい管理するのも有効です
- 「パレットはそれぞれの会社の資産である」という認識を持って仕事しましょう