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文系 ろど・すた子の公害総論解説(平成19年度版)

 このページでは、文系出身の管理人 ろど・すた子が平成19年度 公害総論の解説をしていきます。
 ろど・すた子個人の考え方で解説をしているので、分かりにくい点や間違っている点などがあるかもしれません。そのような解説を発見されましたら、ご連絡を下されば幸いです。
 それでは早速、平成19年度 公害総論の解説を始めます!


 解説をするにあたって参考にした資料は、新・公害防止の技術と法規2006年版(水質編及びダイオキシン類編)環境循環型社会白書(平成19年版)・環境白書(平成18年版)及び公害防止管理者試験 公害総論 攻略問題集です。


 問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 問14 問15



問1 環境基本法の理念に関する記述中、下線部分の用語として正しいもののみの組合せはどれか。
 環境の保全は、(a)事業活動その他の活動による(b)環境への負荷をできる限り低減することその他の(c)自然環境の保全に関する措置がすべての者の(d)公平な役割分担の下に(e)総合的かつ計画的に行われるようになることによって、(f)健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、(b)環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら(g)持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
(1)  a,b,c
(2)  a,b,e
(3)  b,d,g
(4)  d,e,f
(5)  c,e,g


解説
 環境基本法の理念については第3条~第5条に記されている。この問題で取り上げられているのは、第4条である。


 環境の保全は、(a)社会経済活動その他の活動による(b)環境への負荷をできる限り低減することその他の(c)環境の保全に関する行動がすべての者の(d)公平な役割分担の下に(e)自主的かつ積極的に行われるようになることによって、(f)健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、(b)環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら(g)持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。


 赤字の部分と上の問題を照らし合わせてみると、正しい組合せ(3)のb,d,gであることがわかる。
よって、正解は(3)である。



問2
環境基本法に規定する事業者の責務に関する記述として、(ア)~(オ)の中に挿入すべき語句(a~j)の組合せとして、正しいものはどれか。
 事業者は、基本理念にのっとり、環境の(ア)を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の(イ)を行うに当たって、その(イ)に係る製品その他が(ウ)となった場合にその(エ)が図られることとなるように(オ)を講ずる責務を有する。
 a: 保全上の支障  f: 財政上の措置
 b: 経済行為  g: 必要な措置
 c: 事業活動  h: 負荷の低減
 d: 規制対象  i: 廃棄物
 e: 適正な処理  j: 負荷の増大

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)


解説
 環境基本法で規定されている事業者の責務については第8条に記されている。この問題で取り上げられているのは、第8条第2項である。


 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。


 赤字の部分と上の問題を照らし合わせてみると、正しい組合せが(2)のa,c,i,e,gであることがわかる。
よって、正解は(2)である。



問3 次の目的規定をもつ法律のうち、環境基本法の制定以降に定められた法律はどれか。
(1) この法律は、特定の地域について、工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、もつてその地域における工業の健全な発達と地盤の沈下の防止に資することを目的とする。
(2) この法律は、工場その他の事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭について必要な規制を行い、その他悪臭防止対策を推進することにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。
(3) この法律は、特定の地域内において、建築物用地下水の採取について地盤の沈下の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。
(4) この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めることに等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。
(5) この法律は、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることにより、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止し、もつて国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。


解説
 環境基本法が制定されたのが平成5年(1993年)11月である。
(1) 工業用水法の第1条である。工業用水法が制定されたのは、昭和31年6月である。
(2) 悪臭防止法の第1条である。悪臭防止法が制定されたのは、昭和46年6月である。
(3) 建築物用地下水の採取の規制に関する法律(以下「ビル用水法」という。)の第1条である。ビル用水法が制定されたのは、昭和37年5月である。
(4) 土壌汚染対策法の第1条である。土壌汚染対策法が制定されたのは、平成14年5月である。
(5) 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(以下「土壌汚染防止法」という。)の第1条である。土壌汚染防止法が制定されたのは、昭和45年12月である。
 以上のことから、環境基本法が制定された平成5年以降に定められた法律は、平成14年に定められた「土壌汚染対策法」であることがわかる。
 よって、正解は(4)である。



問4
特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) この法律は、公害防止統括者等の制度を設けることにより、特定工場における公害防止組織の整備を図り、もつて公害の防止に資することを目的とする。
(2) 公害防止統括者は、当該特定工場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
(3) 公害防止管理者を選任することを怠った者は、50万円以下の罰金に処せられる。
(4) 公害防止管理者の代理者は、公害防止管理者の資格を有する必要はない。
(5) 都道府県知事(又は政令で定める市の長)の命令により解任された公害防止管理者は、その解任の日から2年を経過しないと、公害防止統括者、公害防止管理者及び公害防止主任管理者並びにこれらの代理者になることはできない。


解説
 (1)~(3)、(5)は正しい。
 (4)特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」の第6条では、公害防管理者の代理者については、本人に要求される資格と同一の資格が要求されるとあるので、誤り
 よって、正解は(4)である。



問5 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定する公害防止統括者等の選任、届出に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。
 特定事業者は、公害防止統括者を選任すべき事由が発生した日から(1)30日以内に、当該特定工場公害防止統括者を選任し、選任した日から(2)30日以内に、その旨を当該特定工場の所在地を管轄する都道府県知事(又は政令で定める市の長)に届け出なければならない。ただし、その特定事業者の常時使用する従業員の数が(3)20人以下である場合には、公害防止統括者を選任する必要はない。また、公害防止管理者の選任は、公害防止管理者を選任すべき事由が発生した日から(4)30日以内に行い、選任した日から(5)30日以内に、その旨を当該特定工場の所在地を管轄する都道府県知事(又は政令で定める市の長)に届け出なければならない。


解説
 公害防止統括者等の選任、届出に関する記述は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」の第3条~4条及び法施行規則第2条、5条に記載されている。
 法律と上記の問題を照らし合わせてみると、(4)の30日以内が誤りであることが分かる。正しくは60日以内である。
 よって、正解は(4)である。



問6 日本における環境問題とその主な原因物質の組合せとして、誤っているものはどれか。
 (環境問題)        (原因物質)
(1) 四日市ぜん息     硫黄酸化物
(2) 水俣病         有機水銀
(3) イタイイタイ病     六価クロム
(4) 富栄養化        窒素、りん
(5) 地下水汚染      硝酸性及び亜硝酸性窒素


解説
 (1)、(2)、(4)、(5)の組合せは正しい。
 (3)イタイイタイ病の原因物質はカドミウムなので誤り
 よって、正解は(3)である。



問7 略語とそれを説明する日本語の組合せとして、誤っているものはどれか。
(1) PRTR ・・・・・ 環境汚染物質排出・移動登録
(2) MSDS ・・・・・ 化学物質等安全データシート
(3) JI  ・・・・・・・ 途上国におけるクリーン開発メカニズム
(4) PPP ・・・・・・ 汚染者負担の原則
(5) IPCC ・・・・・ 気候変動に関する政府間パネル


解説
 (1)、(2)、(4)、(5)は略語とそれを説明する日本語の組合せが正しい。
 (3)JI先進国間における共同実施の略で途上国におけるクリーン開発メカニズムの略はCDMであるので誤り
 よって、正解は(3)である。



問8 地球環境問題に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 南極上空の成層圏オゾン濃度が、春に急減する現象はまだ続いている。
(2) 成層圏オゾン層の破壊は、人の健康や植物の成長に有害な影響を与えるおそれがある。
(3) クロロフルオロカーボン(CFC)の生産は、全世界で全廃されている。
(4) 地球の温暖化に最も寄与している人間活動起源の温室効果ガスは、二酸化炭素である。
(5) 地球温暖化の影響の一つとして、海面水位の上昇が指摘されている。


解説
 (1)、(2)、(4)、(5)の地球環境問題に関する記述は正しい。
 (3)クロロフルオロカーボン(CFC)の生産は、先進国での生産は全廃されているが、発展途上国では生産量が規制されているだけであるので誤り
 よって、正解は(3)である。



問9 粒子状物質に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 粒子状物質は、固体粒子、ミストなどの総称である。
(2) 燃料、その他の物の燃焼に伴い発生する粒子を、ばいじんという。
(3) 粉じんは、物の粉砕や選別等に伴い発生する。
(4) 浮遊粒子状物質は、粒子径が10μm以下の浮遊粉じんである。
(5) 浮遊粒子状物質の大気中濃度は、ここ数年増加する傾向にある。


解説
 (1)~(4)までの粒子状物質に関する記述は正しい。
 (5)浮遊粒子状物質の大気中濃度は、ここ数年増加する傾向にあるとあるが、正しくはここ数年やや減少する傾向を示しているので誤り。平成17年度の年平均値は、一般局で0.015ppm、自排局で0.027ppmであり、環境基準達成率も一般局で99.9%、自排局で91.3%となっており、一般局では近年ほとんど全ての測定局で環境基準を達成しており、自排局では前年に比べやや改善している。
 よって、正解は(5)である。



問10 平成16年度の公共用水域の水質に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 人の健康の保護に関する環境基準の達成率は、全体では99%以上である。
(2) カドミウム、アルキル水銀及びPCBは、人の健康の保護に関する環境基準値を超えている測定地点がある。
(3) 生活環境の保全に関するBOD又はCODの環境基準の達成率は、全体では80%以上である。
(4) 生活環境の保全に関するBOD又はCODの環境基準の水域別達成率は、湖沼が最も低い。
(5) 閉鎖性水域では、富栄養化により赤潮等が発生している。


解説
 (1)、(3)、(4)、(5)の平成16年度の公共用水域の水質に関する記述は正しい。
 (2)で、カドミウム、アルキル水銀及びPCBが、人の健康の保護に関する環境基準値を超えている測定点があるとあるが、基準値を超えている測定点はないので誤り
 よって、正解は(2)である。



問11 平成16年度における騒音・振動に対する苦情に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 振動・騒音に対する苦情件数は、公害に関する苦情件数の約20%を占めている。
(2) 騒音に対する苦情件数のほうが、振動に対する苦情件数よりも多い。
(3) 振動では、建築・土木工事に対する苦情件数が最も多い。
(4) 営業騒音、拡声器騒音、生活騒音などの近隣騒音は、騒音に関する苦情件数の約半分を占めている。
(5) 低周波音が建具を振動させたり、頭痛、めまい、いらいらなどを生じさせたりするという苦情がある。


解説
 (1)、(2)、(3)、(5)の平成16年度における騒音・振動に対する苦情に関する記述は正しい。
 (4)営業騒音、拡声器騒音、生活騒音などの近隣騒音は、騒音に関する苦情件数の約半分ではなく約1/4を占めているので誤りである。
 よって、正解は(4)である。



問12 PCBに関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 難燃性であり、導電性の物質である。
(2) 熱交換器の熱媒体や感圧複写紙などに使用されてきた。
(3) カネミ油症事件を契機に、その有毒性が問題となった。
(4) 保管されているPCBの処理法として、高温焼却法や化学的無害化処理法がある。
(5) POPs条約の対象物質である。


解説
 (2)~(5)はPCBに関する記述として正しい。
 (1)で難燃性、導電性とあるがPCBは不燃性や絶縁性が高い物質であるので誤り
 よって、正解は(1)である。



問13 ダイオキシン類に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 非意図的に生成され、残留性の強い化学物質である。
(2) ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルの3種類がある。
(3) 個々のダイオキシンによって毒性が大きく異なるので、濃度は等価換算毒性量(毒性等量)(TEQ)として表す。
(4) 人の摂取に関して、耐容一日摂取量(TDI)が定められている。
(5) 大気及び水質環境についてのみ環境基準が定められている。


解説
 (1)~(4)までダイオキシン類に関する記述として正しい。
 (5)で大気及び水質環境についてのみ環境基準が定められているとあるが、土壌環境も環境基準が定められているので誤り
 よって、正解は(5)である。



問14 マネジメント及び環境マネジメントに関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) マネジメントとは、運営管理ないしは運用管理とも呼ばれる。
(2) マネジメントのサイクルとは、PDCAサイクルのことである。
(3) マネジメントシステムとは、方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステムである。
(4) 環境マネジメントシステムは、組織の全体的なマネジメントシステムとは独立していることが望ましい。
(5) 環境マネジメントシステムの有効性を利害関係者に保証する方法として、第三者認証がもっとも流布している。


解説
 (1)、(2)、(3)、(5)はマネジメント及び環境マネジメントに関する記述として正しい。
 (4)で環境マネジメントシステムは、組織の全体的なマネジメントシステムとは独立していることが望ましいとあるが、環境マネジメントシステムは「全体的なマネジメントシステムの一部で、環境方針を策定し、実施し、環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されているので誤りであることがわかる。
 よって、正解は(4)である。



問15 環境調和型製品に関する記述として、正しいものはどれか。
(1) 環境配慮設計は、環境適合設計とも呼ばれる。
(2) 環境配慮設計では、製品の本来機能より環境側面を重視しなければならない。
(3) エコリーフ環境ラベル制度は、JIS Q 14024で規定されたタイプⅠ環境ラベル制度に相当する。
(4) タイプⅡ環境ラベル制度は、第三者の認証を必要とする環境主張である。
(5) 資源有効利用促進法でいう3R対策は、廃棄物抑制対策、エネルギー節約対策、リサイクル対策を指す。


解説
 (1)正しい
 (2)で環境配慮設計は、製品の設計開発を製品の本来機能とともに、製品の環境側面を適切に統合して実施する考え方であるので、誤り。
 (3)はエコリーフ環境ラベル制度ではなく、エコマーク制度の説明である。エコリーフラベル制度は、ISO 14040シリーズに従ったものでタイプⅢ環境宣言プログラムに相当するので誤り。
 (4)タイプⅡ環境ラベル制度は、独立した第三者の認証を必要としない環境主張であるので誤り。
 (5)の3R対策とは、廃棄物の抑制(Reduce)、回収製品の再利用(Reuse)、リサイクル対策(Recycle)を指すので誤り。
 よって、正解は(1)である。




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