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ダイオキシン初心者が教える「ダイオキシン類入門」

 
目次
はじめに
1.ダイオキシン類って何だろう?
2.ダイオキシンの環境問題
 2.1.歴史的経緯
 2.2.人体にどのような被害があるのか



1.ダイオキシン類って何だろう?


 ダイオキシン類とはPCDDs、PCDFsおよびコプラナーPCBの総称の事です。
 とはいっても「PCDDs、PCDFsおよびコプラナーPCB」が何の事なのかさっぱり分かりませんよね (化学構造は右図に示す) 。という訳で一つずつ説明したいと思います。
 PCDDs (ポリクロロジベンゾ-ジオキシン) は2個のベンゼン環が2個の酸素によって結合したもののことを言います。私はここで「うーん。ベンゼン環ってなんだっけ?」と悩んでしまいました。それではまずベンゼン環とはなにか復習してみましょう。
 ベンゼンの化学式はC6H6です。ベンゼン環は通常6角形の中に○をかいて表します。炭素 (C) が6角形の構造を取っており、炭素一個につき水素一つが結合しているものがベンゼン環です。では6角形の中の○はなにを意味しているのでしょうか。
 中学校や高校の時に水素は結合のための手が1つ、炭素は4つということを習いましたね。炭素は水素と結合するために手を1つ使います。炭素に残る手は3本です。1つの炭素には2つの炭素が結合していますから、3本の手を使って2つの炭素と結合しなければなりません。このため片方の炭素とは手1本で結合していますが、反対側の炭素とは手2本で結合しています。よ〜く考えてみてください。どの炭素が手1本でつながってるか、どの炭素が手2本でつながっているか、判断できませんよね。このため便宜上、6角形の中に○を描く事で「これはベンゼン環だよ!」ということを、分かりやすく示しているのです。ベンゼン環を表す記号みたいなものなのです。
 図中の数字が記入されている部分の水素が塩素に置き換わる事 (部分的に) によって、PCDDsになるんです。PCDDsは単に「ダイオキシン」と言われる事も多いです。
 次に、PCDFs (ポリクロロジベンゾフラン) について説明したいと思います。この物質は2個のベンゼン環が1個の酸素原子で結合しPCDDsと同様、水素が塩素によって置換されているものを言います。この化合物は単に「フラン」と呼ばれる事も多いようです。
 最後に、コプラナーPCBs (Coplanar-Polychlorinated Bipheny) です。PCBsとは2個のフェニル基が結合したビフェニルの骨格を形成している水素の一部が塩素に置換されたものです。塩素の置換位置によって、PCDDsやPCDFsと同じような形態をとるものをコプラナーPCBsと言います。
 以上、「PCDDs、PCDFsおよびコプラナーPCB」をダイオキシン類と定義しています。
 ちなみに、ダイオキシン類を表記するためには、塩素の数とその置換位置を示す必要がありますよね。そのため、例えば、2、3、7、8の位置の炭素に塩素が結合したPCDDsは2,3,7,8-TeCDDと表記されます。「なんで、PがTeにかわるんだよ〜」と思いませんか。私も同じような疑問を抱いて考えてみました。それで、さんざん悩んだあげく、ようやく理解しました。そうですTeは4つを意味する「テトラ」の略じゃないですか (同様に、PeはPenta、HxはHexa、HpはHepta、OはOctaの略です) ! な〜んだそういう事なのかという感じです。
 余談ですが、実は、そもそもダイオキシンとは2個の酸素によって結合された化合物を意味しています。それで、正確にダイオキシンと呼ぶ事が出来るのは「PCDDsのみ」なのです。
 学術的には「ダイオキシン」ではないものも「ダイオキシン類」として扱われているということです。


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