水質概論 富栄養化に関する問題

富栄養化に関する問題は毎年のように出題されています。富栄養化は絶対確認した方がいいです。

ちなみに富栄養化とは、「湖沼や、内湾に栄養分が流れ込むことによって起こり、プランクトンなどが増殖し、水質を汚濁する」ことです。

以下のことを頭に叩き込んでください。

  • 富栄養化が起こると光合成によりpHが上昇する。
  • 富栄養化の主な制限因子はリンと窒素である。
  • 富栄養化はもともと自然に発生する現象である。(人の手が加わっていない場合でも発生。)
  • 富栄養化により、透明度は低下する。
  • 富栄養湖では、深水層底部で溶存酸素が消失して無酸素状態になることが多い。

練習問題

問1 富栄養化に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1) 全リン量は、藻類現存量に影響しない。
(2) 水中の有機態窒素は、好気的条件下で微生物の作用によって硝酸塩になる。
(3) 硝酸塩は、嫌気的条件下における脱窒菌の作用によって、窒素として大気中に放出される。
(4) 窒素を体内に固定できる生物は、水中にも存在する。
(5) 淡水域では、一般に鉄よりもリンが植物プランクトンの生育の制限因子となっている。

答え (1)
富栄養化の主な要因は、窒素とリンの存在である。よって(1)は誤り。他は正しい。
(2)の選択肢の微生物群を硝化細菌という。
(3)の選択肢の微生物群を脱窒細菌という。

問2 用語に関する記述として、誤っているものはどれか。
(1) 富栄養化・・・・・・湖沼中の栄養成分の量が増えていく現象
(2) 生物濃縮・・・・・・水中の縣濁物質に生物が吸着する現象
(3) 水温躍層・・・・・・水深によって、水温が急に変わる層
(4) 塩水くさび・・・・河川の感潮域の下層部に海水がくさび状に入り込む現象
(5) 脱酸素反応・・・・好気性微生物などにより溶存酸素が消費される反応

答え (2)
(2)以外はすべて正しい。
生物濃縮とは、生物の体内に有害物質が蓄積していくこと。
よって(2)は間違い。

問3 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 貧栄養湖のクロロフィルaの濃度は、おおよそ1mg/m3以下である。
(2) 地球全体の水のうち、利用できる淡水はその1%にも満たない。
(3) 我が国の内湾における水平方向の拡散係数は、104~106cm2/s程度である。
(4) 富栄養化した湖沼の透明度は、10m以上である。
(5) 汚染物質の魚類における濃縮比は、100000を超すことがある。

答え (4)
富栄養化は、水が緑、又は黄緑色になり、透明度が低下する。(汚い緑の池をイメージしてください。あれが富栄養化です。)よって(4)は間違い。他は正しい。

問4 富栄養化現象に関する記述として、誤っているものはどれか。(平成17年1種試験より)
(1) 湖沼を水源としている水道水で異臭味が発生し、特にカビ臭が問題になることがある。
(2) 湖の栄養状態は透明度の程度によって分類され、透明度は生物に起因する濁りと関係している。
(3) 湖沼に栄養塩類が蓄積される機構は、湖沼を含む集水域の形状、地質、植生には影響されにくい。
(4) 湖沼内で透明度とクロロフィル量とが互いに反比例するのは、生物の生産活動によってプランクトンが増加し透明度が低下するためである。
(5) 窒素は主に硝酸塩となって溶存状で流入するのに対し、リンは土壌粒子に吸着されやすいため、土砂に伴って流入する。

正解 (3)
(3) 以外は全て正しい。例えば、水深などは富栄養化に多大な影響を与える。
(4) の富栄養化が発生すると濁度が低下する事はとても重要。また、(5) のリンが土壌粒子に吸着されやすい事なども重要。

こんな感じで出題されます。富栄養化を押さえておけば、1点は取れたも同然です。
自信をもって次に進みましょう。

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