よく出る環境基本法 徹底分析!

公害総論の過去問を解いてみるとわかると思いますが、毎年環境基本法についての問題が出されています。最低でも1問、多い時では3問も出題されています。

公害総論は、全部で15の問題があるので、3問の出題となると、問題の2割を環境基本法が占めることになります。

さて、この環境基本法に関する問題ですが、たいていは虫食いの出題です。
( )の中に入る語句は何でしょう。という出題方法がほとんどを占めています。
あとは、下線部分で間違ったもの、正しいものはどれでしょう。という出題方法になります。

では、その中でもよく(  )抜きにされる箇所はどんなものでしょうか。

過去遡って、公害総論解説を作り始めた平成18年度から平成29年度までの12年間でどこがよく出題されていたのか調べてみました。

出題された法律文を抜き出し、出題箇所を太字にしてみました。

(第1条)

平成21年度、平成18年度の2年で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

(第2条)

平成29年度、平成26年度、平成24年度、平成18年度の4年出題されていました。

第2条の法律文は以下の通りです。

この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行海洋の汚染野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(第4条)

平成19年度に出題されていました。

法律文は以下の通りです。

環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。

(第8条)

平成26年度、平成23年度、平成19年度の3年で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(第9条)

平成20年度で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(第16条)

平成28年度、平成27年度、平成25年度、平成23年度、平成21年度、平成18年度と6年間出題されていました。

法律文は以下の通りです。。

政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。

一 二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府

二 前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者

イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長

ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事

3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。

4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。

(第17条)

平成27年度で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。

一 現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域

二 人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域

(第20条)

平成29年度、平成23年度の2年で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(第22条)

平成29年度、平成22年度の2年で出題されていました。

法律文は以下の通りです。

国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものであるときは、その効果が適切に確保されるようにするため、国際的な連携に配慮するものとする。

出題された箇所を太字にする作業をしていて気がついたのですが、問われる箇所はほぼ決まっているということです。適正な処理や必要な措置など似たような言葉政府、市の長、都道府県知事などがよく問われています。

更に気がついたのは、環境基本法は全部で46条ありますが、過去12年間で出題されたのは9つの法律文だけでした。しかも、16条は12年のうち6年も出題されています。2年に1度は出題されています。2条は4年も出題されているので、3年に1度は出題されている計算になります。

このように、押さえておくべき法律文が過去問を調べていくと分かってきました。環境基本法のすべてに目を通しておくことは大切だと思いますが、すべてを覚えるというのはかなり大変な作業になると思います。なので、過去よく出題されている法律文に重点を絞って勉強することも大切かなと思います。

是非、参考にしてみてください。

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