東京都公害防止管理者という資格をご存知ですか?
東京都公害防止管理者とは、東京都の環境確保条例(「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(略称:環境確保条例))に基づいて東京都環境局が実施している資格です。
このホームページで取り上げている「公害防止管理者」は「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づく国家資格であり、資格の基になっている法律が異なります。
東京都公害防止管理者制度は、特に公害発生の可能性が高いと考えられる工場において、公害防止管理者を選任し、公害の防止を管理させるとともに行政及び地域住民の窓口とするため、条例で設置を義務付けたものとなっています。
なお、
「①東京都公害防止管理者」のみに対象となる工場
「②公害防止管理者」の対象となる工場
「①および②と重複する」工場 がありますので注意が必要です
なお、東京都公害防止管理者の設置が義務図けられている工場は、以下のようになっています。詳しくは、東京都のホームページに表がまとめられていますので、参考にしてください。
東京都公害防止管理者の設置が義務付けられている工場は、
「条例別表第八の工場」 並びに 「発電施設、都市ガス製造施設、都市ごみ焼却施設及びパルプ製造施設を有する工場」です。
環境確保条例(105条)では、「規則で定める規模以上の工場を設置している者は、公害防止管理者を選任し、作業の方法、施設の 維持等について当該工場から公害を発生させないよう監督を行わせなければならない」と定めています。環境確保条例施行規則では、
条例別表第八に掲げる工場のうち、その業種に応じて公害防止管理者の区分(一種・二種)を定めています(東京都のホームページより)。
職務としては、条例施行規則で、
当該工場を設置している者に対し、条例の規定を誠実に遵守するよう助言し、及び作業の方法、施設の維持等の技術的事項について、当該工場から公害を発生させないよう監督を行うこと。当該工場の付近の住民に対し、当該工場の公害の防止方法等について周知させること。
とされています。具体的には、
- 公害発生施設の使用方法の監視
- 測定及び記録
- 緊急時の措置
- 処理施設の維持管理
- 作業方法の監督
- 付近住民に対する応接
- 行政庁に対する報告
となっています。
どうやったら東京都公害防止管理者になれるのか
東京都公害防止管理者講習を受講して、修了テストに合格すると東京都公害防止管理者になることができます。
しかし、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に定める公害防止管理者または公害防止主任管理者の資格を有する人は、自動的に東京都一種公害防止管理者の資格を持っていることになるので、講習を受講し、修了テストに合格する必要はないんです。そのかわり、区・市役所へ届出をする際には、東京都公害防止管理者の資格登録が必要です。
一般の公害防止管理者の資格を持っている人は、「東京都公害防止管理者の資格は不要!!」と覚えておいてください。
次に、東京都公害防止管理者講習を受講するための条件についてです。東京都公害防止管理者には1種と2種がありますが、1種と2種では受講できる資格が少し違います。
東京都一種公害防止管理者の受講資格
①第一種、第二種、第三種電気主任技術者
②第一種、第二種ボイラー・タービン主任技術者
③甲種、乙種ガス主任技術者
④技術士登録証を有する
⑤甲種化学責任者
⑥甲種機械責任者
⑦医師法第二条に定める免許を有する
⑧薬剤師法第二条に定める免許を有する
⑨特級ボイラー技士
⑩甲種火薬類製造保安責任者
⑪甲種火薬類取扱保安責任者
⑫毒物劇物取扱責任者
⑬技術管理者
⑭甲種危険物取扱者
⑮熱管理士
⑯東京都二種公害防止管理者
⑰工場等において公害防止若しくは環境管理の業務に従事し、若しくは従事することを予定する者
東京都二種公害防止管理者
上記の①~⑮までの資格を有するもの
・乙種危険物取扱者
・乙種化学責任者
・乙種機械責任者
・一級、二級ボイラー技士
・乙種火薬類製造保安責任者
・丙種火薬類製造保安責任者
・乙種火薬類取扱保安責任者
・工場等において公害防止若しくは環境管理の業務に従事し、
若しくは従事することを予定する者
以上の資格を有している人が講習を受けることが出来る人たちです。
ちなみに受講手数料は一種が8,200円、二種が5,700円です。
資格取得の流れは
6月初旬 都庁または各区・市の窓口で講習案内書配布開始
↓
6月下旬 都庁で申込み受付
↓
7月~8月 一種・二種ともに各2回、講習が実施される予定
(修了テストあり)
↓
9月下旬 都庁で登録受付
というようになっています。
まとめ
- 「公害防止管理者」と「東京都公害防止管理者」は全く別物。根拠となっている法律、条例が異なる(対象となる工場にも相違がある)。
- 一般の公害防止管理者の資格を持っている人は、「東京都公害防止管理者」の資格を取得する必要はない。
- 「東京都公害防止管理者」になるには、指定された講座を受講して修了テストに合格しなければならない。