自分の子どもが「高専」に行きたいと言い出したら読んでほしい記事

僕は高専(高等専門学校)出身です。

高専出身者というのは社会でもそれほど多くないので、どんな人なんだろうと思われることがあるかもしれません。

また、高専ってどんなところなんだろうと疑問に思われることでしょう。

高専は高校とは違って、

5年間通学する、高等教育機関である。などの違いがあります。

以下に、簡単に高専について説明しておきます。

高専生とは高等専門学校(以下、高専)に通う学生のことである。そして高専とは中学校卒業後5年間をかけて工業分野や商船分野などを学ぶ学校のことである。

なお、中学校卒業後入学するため、高校に近いイメージがあるかもしれない。しかし、その件に関しては「全く違う」と否定しておかなければならない。高専は「高等教育機関」のくくりに入る教育機関であり、いわゆる「大学」と同じような位置づけである。そのため、一般の高校生の年齢でありながら、大学で学習するような内容を早期に学習する。また、5年生になると卒業研究が開始されるので、一般の大学4年生と同じように研究に力を入れていく生活が始まる。卒業後は準学士の称号が与えられる(短大卒相当)。最近では高専の5年間の本科卒業後、大学卒業の資格(学士)をとるために2年間の専攻科が設置されている。

最近ではJABEE認定の学校、学科が増えており、技術系最高峰の資格である「技術士」の資格への近道ともなっている。

僕自身、高専にはいって、卒業して、就職して、あらためて、「高専ってよかったな」「高専に入って損したな・・・」と思うことがあります。
これから高専進学を考えている、中学生の皆様とその親御さんのために、高専出身の僕がそこらあたりを語らせてもらおうと思います。

お子さんが、「高専にいきたい」という方は、是非読んでみてください。
良いとこばかりではないので、悪いところも理解していただいて欲しいなと思います。

参考になれば・・・・。

高専出身で損をしたと思う事

1. みんなと同じような青春を過ごせていない

高専と言えば、「男社会」かつ「オタク社会」であります。普通課の高校に行っていれば青春をしていたであろう年齢で、いきなりそんな閉鎖的な社会で過ごすことになります。

大人になっても一般の高校で過ごす青春時代へのあこがれが、捨てきれない自分がいます(笑)。恋人同士の出会いの機会も一般の高校と比較すると圧倒的に少ないでしょう。

2. 普通の大学受験をしていないので大学事情に疎い

一般の高校生は、センター試験を受けて大学を受験します。しかし高専生は一般的に大学に入学する際に「大学の3年生に編入」という形をとります。しかも、いわゆる大学の偏差値評価みたいなのはなく、クラスで10番以内くらいだったら、地元の国立大学は推薦でいけるよね。クラスで1~3番くらいなら旧帝大狙えるよね。30番以下だとちょっといろいろ考えるよね。みたいな感覚でした。大学の偏差値と入りやすさが一致していないこともあります。いわゆる、一般の大学入試事情に疎いです。

このため、他の人の出身大学名を聞いても、「どんなレベルの大学なのか全くわからない」ということがあります。

また、高専生は偏差値の高い大学というより「自分がやりたい研究」で大学を選ぶ率が高いです。旧帝大に合格できそうなトップクラスの成績のクラスメイトが豊橋技大に進学するということも結構あったりします。

3. 中学卒業してすぐ理系人生しか選択肢がなくなる

まだ、可能性が無限にある中学校3年生の時に、技術者としての道を選んだことになります。もっと、別の道はなかったのか、高専への進学の道が正しかったのか、いまだによくわかりません。自分のやりたい道を選ぶのは、もっと後でもよかった気がします。

4. 英語ができなくなる人、できない人が多い

僕の時代は、あまり英語教育が重視されませんでした。

それで、高専生はTOEICの一般の高校生より低いです。

ちなみに高専生のTOEIC平均スコアは349点らしいです。それに対して一般の高校生平均は410点です。)。

英語がが全くできない。

それはそれで、何とかなってしまうのが高専の怖いところです。

この国際化が進んでいる時代、どんな技術者でもほとんどの場合、英語を使うことになると思います。「自分は英語を使わない」と思っている高専生が多いと思います。

でもそう思っている人に限って皮肉にも、結局、英語が必要になっているような感じがします。社会に出てから僕のように困ることになりますので、高専在学中からコツコツ英語は勉強しておいた方がいいと思います。

5. 簡単に留年し、社会に出るのが遅くなってしまう

高校で留年ということは、あまりないと思います。でも高専生は、いとも簡単に留年します。あなたも私も留年生・・・というクラスもあります。本来、理系でない人にとっては、高専の勉強は非常に厳しいでしょうから、理数系の科目が苦手な場合は地獄を見ることが多いです。僕は幸い、留年はしませんでした。でも、あまり数学得意ではなかったので苦労したなぁ・・・。今でも単位を落とす夢、留年する夢をみるほどです。留年が多いのはトラウマとして脳裏に刷り込まれているのかもしれません。

高専にはいってよかったこと

1. 技術者の中で「高専つながり」は非常に強い

技術の世界、沢山の高専出身の技術者が活躍しています。ほかの技術者の方と一緒に仕事を出身というとき、お互い高専出身というだけで非常に親近感がわき仕事が円滑に進むことが多いと感じます。これは一番のメリットかなと思います。

ちなみに私の場合、異国地で同じ高専のエンジニアに出会って、非常に盛り上がった経験があります。やはり、高専出身者のコミュニティーはすごい!


2. もはや「オタク」を恥じなくなった

ずっと「オタク」というイメージが付きまとう高専生でした。「オタク」扱いには慣れっこです。技術者としては「オタク」は強みでもあります。最近では「オタク」イメージを有効利用できている感じがします。

3. やっぱり専門的な技術力は身についたのかなと思う

高専では15歳から専門的なことを学びます。普通の大学生は18歳から学びますが、僕たちは15歳から学んでいます。やっぱりその期間には意味があると思います。
いまだに、高専1年生で学んだことも、実際の仕事に役立っています。ふとした瞬間に、高専で学んだことがよみがえってくるときがあるんですよね。

最後に、

自分の子どもが「高専に行きたい」と言ったらどう思うか・・・と言う気持ち考えてみました。複雑な気持ちになりますが、「絶対に技術者になりたい!」という強い意志がなければ、一般の高校に行ってほしいような気がします。

15歳そこそこの時にはまだまだ可能性は無限大!

技術者にならないという選択肢だってあると思います。

現時点では想像もできないような天職も見つかるかも!

どうしても、どうしても技術者になりたいと現段階で決意が固い中学生の皆さんだけ、高専に進学してほしいと思います。ちょうど偏差値的に入れそうだから・・・ということで入学するのであれば、やめた方がいいんじゃないかと思います。

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