環境の法律でもっと重要なのは環境基本法です。
近年、「環境の日」「環境月間」を耳にすることが多くなりました。
環境の日は6月5日。環境月間は6月です。
実は、「環境の日」は環境基本法の中に規定されている立派な法律用語です。
第十条 事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。
2 環境の日は、六月五日とする。
3 国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。(法制上の措置等) 環境基本法十条より
では、「環境月間」はどうでしょうか?
実は、「環境月間」という言葉は環境基本法の中をいくら探しても見つかりません。
そうなんです。法律の中で規定された用語ではないんです。
では、「環境月間」とは何なのでしょうか? 「環境の日」とは何が違うのでしょうか? その点について調べてみましたので、この記事でまとめてみようと思います。
1. 「環境の日」設置の趣旨
環境省のホームページによると、「環境の日」設置の趣旨は以下のようになっています。
6月5日は環境の日です。これは、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたものです。国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」と定めており、日本では「環境基本法」(平成5年)が「環境の日」を定めています。「環境基本法」は、事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるという「環境の日」の趣旨を明らかにし、国、地方公共団体等において、この趣旨にふさわしい各種の行事等を実施することとしています。
つまりまとめると、以下のように言うことが出来ます。
- 環境の日は日本独自のものではなく、国連環境会議に置ける「世界環境デー」に協賛したような形になっている。どちらも6月5日である。
- 日本では環境基本法の中で「環境の日」を定めている。
- 国民、事業者、国、地方公共団体等が対象になる。つまり、日本人みんな「環境の日」を意識してくださいという趣旨がある。
2. 環境月間とは
では、環境月間とは何でしょうか?
これは、先ほど書いたように、「環境基本法」に基づく月間ではありません。では、何に基づく、もしくは誰が設置したものなのでしょうか?
環境省のホームページでは以下のように書かれています。
我が国では、環境庁の主唱により、平成3年度から6月の一ヶ月間を「環境月間」(昭和48年度~平成2年度までは、6月5日を初日とする「環境週間」)とし、全国で様々な行事が行われています。世界各国でも、この日に環境保全の重要性を認識し、行動の契機とするため様々な行事が行われています。
つまり、「法律には定められていないけど、環境省として環境保全の啓蒙のために環境月間(6月)というものを設置したよ」ということなんです。環境の日と環境月間は似たようなイメージがありますが、位置づけが全く異なりますね。 よくわからなくなってしまいそうです(笑)。
3. そんなのどうでもいいよ・・・というわけにはいきません
読者の方には、「別にそんなのどうでも良いよ・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、これ実は結構重要だったりします。環境関連の資格の中で、ひっかけ問題として出題されることがあるのです。
例えば、公害防止管理者試験の5択問題の選択肢の一部として以下のような文章が出題されたことがあります。
環境基本法では6月5日を「環境の日」、6月を環境月間に定めている。
これ、引っかかってしまいそうですが、選択肢ととしては”×”ですよね。
環境基本法中では「環境の日」は定められていますが、「環境月間」の記載はありません。この文章は間違いだとすぐに判断しなければなりません。
このような「ひっかけ問題」が環境系の各種資格(公害防止管理者、環境計量士、技術士、eco検定)のなかで出題される可能性があります。
環境系資格の取得を検討されている方は是非、覚えておきたいですよね。
4. 環境月間のポスターは無償で入手できる
環境の日と環境月間について学んだあとに、豆知識を紹介します。
環境月間のポスターが毎年、公的機関、教育機関や各種企業で掲示されているのを見られたことがある方もいらっしゃると思います。
実はこのポスター、申し込めば無償でもらえるんですよ(但し、枚数制限があります。また送料は「着払い」となっており、全く費用が発生しないわけではありません)。
社員の環境意識を高めるためにポスターを入手して職場に掲示するのも良いかもしれませんね。それに、貼っているだけで「環境に対する意識が高い企業」というイメージを植え付けることが出来る可能性があります。無料ですので、各企業の社長さん、環境関連の業務をされている方は、環境月間の前に収取しておくのはどうでしょうか?
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