5S(3S)活動って本当に必要? 3S至上主義や怪しい3Sビジネスに気をつけろ!

5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけ(躾)の頭文字の「S」からとった言葉です。

これに似た言葉で、3Sという言葉もあります(整理、整頓、清掃)。

一般的に5S(3S)が出来ている会社は他の技術のレベルも高いと言われています。

ただし、本当にそうかと言われると「そういう会社が多い」というだけであって、5S活動が全くできていない会社であっても、競争力、技術力、財務力が高い企業も結構あります。

そう考えると、本当に5S活動が必要なのか? 意味があるのか?

皆さんも疑問に感じられていると思います。

という疑問について僕なりの意見をまとめてみようと思います。

天才の机は「汚い」ことをどうとらえるか?

僕にとって衝撃だった記事があります。

それが以下の二つ。

⇒(1)天才の机は散らかっていた! 混沌とした環境でこそ創造性は発揮される

(2)机や部屋が汚い=勉強・仕事ができない」説はウソ!?

少しまとめてみたいと思います。

天才の机は散らかっていた?

天才の机は散らかっていた! 混沌とした環境でこそ創造性は発揮されるによると、天才の机は散らかっているそうです。

スティーブ・ジョブズ、アルベルト・アインシュタイン、マーク・トウェイン。この3人の偉大な人物に共通する点は「机がいつも散らかっていたこと」です。

彼ら3人以外にも机が散らかっている著名人として、フェイスブックの創設者・CEOのマーク・ザッカーバーグ、ザッポスのCEO、トニー・シェイ、PayPalの共同創業者、CTOのマックス・レヴチン、計算機科学者、暗号解読者のアラン・チューリングやペニシリンの発見者として知られるアレクサンダー・フレミング、画家のフランシス・ベーコンらが挙げられていました。

これだけ、著名な人物が「机が汚い」となると、

机が汚い(3Sが出来ていない) ≠ 仕事が出来ない

と考えることが出来ると思います。つまり、机の綺麗さと仕事の出来に明確な因果関係はないのです。

ですので、「3Sが出来ていることは、良い仕事が出来ることの必須条件ではない」の明らかです。

同記事によると、以下の研究成果が紹介されていました。

最近、ミネソタ大学が実施した研究結果によって、より散らかった机を使う人の方が創造性が高く、積極的にリスクをとる傾向にあることが示されました。一方で、整頓された机を使う人は、ルールに従い、新しいことに挑戦したり、リスクをとることを避ける傾向にあることが研究で分かりました。研究チームは次のようにコメントしています。「人は混沌とした環境に置かれるほど、慣習を破ろうという気持ちが高まるようです。それは、新しい考え方を生み出すチャンスになるでしょう」

この研究結果は、仕事ができて創業者タイプの著名人の机が汚いことの証拠と言えると思います。大きなブレークスルーが出来るタイプの人の机は汚い場合が多いのでしょう

逆に考えると、いわゆる凡人タイプで、既存のルールの中で仕事が出来る人は机がきれいということになるのではないかと思います

頭がいい子の机や部屋も汚いようである

机や部屋が汚い=勉強・仕事ができない」説はウソ!?の記事を読んでみる。

すると、いわゆる頭がいい子どもたちの机は汚い傾向が多いのが分かります

この記事で僕が最も共感を覚えたのは以下の言葉です。

「生徒・学生も同じで、例えばテスト勉強するには関連付けながら覚えていくため、『この類題は教科書のあそこに出てたな』『関連資料があのプリントにあった』など、出しっぱなしになることが多々あります。それを片づけてしまうと、学習上は効率が悪いのです」

これは、僕と全く同じ考え方なので驚きました。

僕もある資格試験に向けで勉強しているときは、机の上にその資格試験に必要なすべての教材をずっと置いたまま、試験終了まで全く片付けないタイプです。

それは上述の理由と一緒で、机の上だけですべての学習を完結させたいからです。机の上がぐちゃぐちゃでもそちらの方が、現実として学習の効率が高いです。勉強がはかどります

本棚に本を取りに行ったり、収めに言ったりする時間。また、資料を探す時間も惜しんで勉強したいと思うとこういうスタイルになります。

おそらく、頭がいい子どもたちも同じようなスタイルなのではないかと思います。

つまり頭がいい人たちの多くは机が汚いのです!!

(注)僕が頭がいいと言っているわけではありません(笑)

このように・・・天才の机は汚い傾向にある

このように天才の机は汚い傾向にあります。

そして、だからと言って彼らが仕事が出来ないわけではありません。

ですから、3S至上主義! 5S最高!

3Sが出来ていない会社なんて全然ダメ! という事ではないと思うんですよね。

5Sや3Sは天才でなくても効率的な仕事が出来る手法

じゃあ、3Sや5Sは必要ないのか?と言われると「そうではない」と考えています。ちょっと考えてみてください。部屋が汚くて仕事もできない人も多いですよね。

天才ではない人が「整理整頓」が出来なかったら最悪です。

以下のような問題があります。

  • 物を探すのに時間がかかり、正味の有用な仕事や生活に充てられる時間が少なくなるため、「人生が効率が悪い」結果になる。
  • 周りから見た印象が悪くなる。特に飲食店などは汚いとお客さんに入ってもらえないこともある。会社では机が汚いと、上司から悪い印象を持たれる。

創造性を高めるためとはいえ、こんなリスクも生じます。人材企業アデコの調査によると、多くの社員は机の整頓状態を見て、同僚を評価しているとのこと。アデコの採用部門副社長のジェニー・デード氏は、Forbesへのインタビューで、「机を常に散らかった状態に放置しておくと、実生活でもだらしない者と思われる」とコメントしています(天才の机は散らかっていた! 混沌とした環境でこそ創造性は発揮されるより)。

ですから、天才でもイノベーターでもない「一般的な人」「一般的な会社」が効率よく仕事をする、相手に与える印象をよくする手法として5Sや3Sは有用だと思います。

枚岡合金工具株式会社では「5S活動」を突き詰めて、それを商売にしています。本業の金型事業の内容が革新的、画期的なものではないです。でも、3Sを強みに企業経営をされておられる様子は印象的です。

このように、

  • 5Sや3Sは天才でなくても効率的な仕事が出来る手法
  • 個人や企業が天才タイプなら、必ずしも3Sが必要なわけではない

ということを覚えておくよいと思います。

3Sや5S至上主義は気持ち悪い

以上のように、3Sは大切だけど必須ではないことを紹介しました。

次に世の中に結構ハマっている方がいる「3S至上主義」の罠について紹介します。この罠にはまって時間を浪費したり、いらないところにコストを使ってしまっている人も多いんですよね。

はびこっている怪しい3Sビジネス

3Sや5Sは一般的な企業にとっては、わかりやすく、始めやすい改善手法です。

でも、3Sさえきちんとやっていれば「どの会社でも必ず儲かる」わけではありません。3S以外にも重要なことはたくさんあるはずです。

例えば、以下の生産管理の本を読んでみると、5Sが紹介されています。しかし、その取り上げられ方は約6ページ分(全173ページ中)だけです。。

by カエレバ

生産管理という分野の中で5Sは非常に重要です。でも、あくまで173ページ中6ページ程度の扱われ方なのです。割合でいうと 6÷173×100=約3.5%。

確かに重要だけど、客観的に見て「3Sは生産管理の分野の中で5%以下の重要性」なのです。この事実を忘れてはなりません。

前述の枚岡合金工具株式会社の古芝会長の本を読んでいると「3Sが出来れば、それだけで勝手に儲かる・・」「3Sは魔法の手法」というイメージを持たれる方もおられます。

古芝会長はそのようなつもりで書かれているわではないです。先ほど述べた通り、枚岡合金工具株式会社では金型などのベースの仕事の上に3Sを積み上げています。ですから、3S活動にも意味があります。

ただし、一部の人たちの中には「3Sは魔法の手法」という印象を持っている人たちが増えています。会社の経営を良くしたいがために、藁をもつかむ気持ちで3Sに挑戦される会社が増えています。

それを利用して、怪しい3S講座や認定資格などが増えてきています。

3Sを悪用した「3S商法」と言えるでしょう!

もちろん良心的な講座もありますが、怪しい講座も沢山あります。変なものに騙されないように注意してください! そして、3Sにのめり込まないように注意しましょう。

そうです、3S活動は全体の仕事の5%以下の範囲にとどめておきましょう!

3S 仕事が出来ない人の逃げ道として・・・

様々な会社を見ていく中で、3S推進委員とか5S推進委員・・・という立場の方に出会うことがあります。

会社によっては、この制度を利用して、

仕事が出来ないアイツに3Sでもやらしとけ!

仕事をするとみんなの足を引っ張るからな!

という形で、事実上、窓際社員を配置することがあります。

このような3S活動のやり方だと、会社が良くなるわけがありません。

見かけ上の3S活動や、3S委員に注意しましょう。

ちょっと「気持ち悪かった」”3つの言わない約束”の唱和

以前、3Sサミットというイベントに参加させてもらったことがあります。

3Sの活動の内容は大変おもしろく、興味深かったです。

しかし、3Sサミットの開会前に、

”3つの言わない約束”を唱和しましょう!

「昔のことは言わない!」

「他人(ひと)のことは言わない!」

「やりもしないで出来ないとは言わない!」

と参加者が起立して唱和し始めたときは驚きました・・・。

正直、改善手法というより「お経を唱えている」雰囲気でした。

技術士としては「科学技術に基づいたアプローチ」で改善したいです。理屈で勝負したいです。精神論とかお経を読むような雰囲気になってしまうような3S活動の進め方は苦手。僕としては気持ち悪かったです。

あくまで、”3つの言わない約束”を否定しているわけではありまっせん。あの雰囲気が不気味でした・・・。アカデミックじゃないというか知的じゃないというか・・・

僕はああいうのは苦手です(生理的に)。これは個人的な感じ方です。

ああいう感じが好きな方がおられたら、それはそれでよいと思います。否定しているわけではありません。3Sサミット参加者の中にも、実は僕と一緒の考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。

3S至上主義のようになって、怪しい雰囲気になっていくことは僕は好きではありません。もうちょっと技術者の視点で3Sを取り入れていける方が僕は好きです。

3Sおよび5Sについての結論

この記事で僕が言いたかったことを以下にまとめます。

  • 天才(な人間、企業)には3Sも5Sも不要、普通の会社や人たちには必要
  • 3Sは必須条件ではない
  • あやしい3Sに騙されない
  • 3S活動は全体の業務の5%以内にとどめておく

3S、5Sの参考になる本

今回の記事の中で、紹介させていただいた「枚岡合金工具株式会社」は特に中小企業向けの3S活動をリードする会社です。それらの活動を紹介する本を執筆されています。とても面白いので、是非読んでみてくださいね。

by カエレバ

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