【まとめ】日本の製造業の競争力強化につながる方策について(2019年ものづくり白書より)

日本の製造業はいろいろな問題を抱えています、しかしながら資源の少ない日本では、今でも製造業の比率は高く、実質GDPのうち22%は製造業で構成されています

(上の図はものづくり白書より)

私自身が「ものづくり」にかかわっているからというのもありますが・・・やはり日本の「ものづくり」を強くしていなかければならない!というのは大きな課題だと感じています。

ものづくり白書にはその方策が書かれている

ものづくり白書には日本のものづくりを強くして、競争力を高めていくための「方策」が掲載されています。それも、「日本として」の公式の見解です。

僕たちものづくり系のエンジニアは、この「方策」について知っている必要があります。国として考えている「方策」を理解していなければ、「本当のエンジニア」とは言えませんよね。

ものづくり白書に書かれた「方策」とは

2019年度の「ものづくり白書」では、第四次産業革命下における我が国製造業の競争力強化につながる方策として、以下の4つの方策が挙げられています。

①世界シェアの強み、良質なデータを活かしたニーズ特化型サービスの提供

②第四次産業革命化下の重要部素材における世界シェアの獲得

③新たな時代において必要となるスキル人材の確保・組織作り

④技能のデジタル化と徹底的な省力化の実施

2019年度ものづくり白書より

日本として、この4つの方策が重要!と考えているのは分かるのですが、イメージがわきづらいなぁと感じます。それで、この記事では上の方策について、私が調べたり、考えたりしたことをまとめてみたいと思います。

世界シェアの強み、良質なデータを活かしたニーズ特化型サービスの提供

すでに、ものづくり系の企業ではAI やロボット、IoT などが実装され、工場の生産性や効率が高まってきています。しかし、今後は以下のような取り組みにもデータを有効活用する必要があるとされています。

  • 顧客や新たな市場、ニーズの開拓までを含む取組
  • バリューチェーン全体を見据えたデータ活用

こうすることで、最新のテクノロジーを自社だけではなくバリューチェーンや社会全体を巻き込んで利用し、効率化していくことが可能となります。これこそが、Connected Industriesの重要な思想です。

最新のAI、IoT、ロボットなどの技術を自社だけでなく、顧客、取引先、社会全体までも巻き込んで有効活用し、産業全体を効率化していくフェーズを目指したい!

この姿勢を日本のものづくり業界全体として推進していかなければいけない。

これが、ものづくり白書の「世界シェアの強み、良質なデータを活かしたニーズ特化型サービスの提供」と言う言葉に込められたメッセージだとおもいます。

最新のテクノロジーの活用を次の段階に進めなければならないのです!

第四次産業革命化下の重要部素材における世界シェアの獲得

スマートフォンなどのIT危機が爆発的な普及しています。

これに伴い、高度な部品や素材の需要が高くなっています。

以下の図を見てください。液晶パネル、半導体メモリ、リチウムイオン電池、太陽光パネルおよびそれらの関連部材については、日系企業のシェアが非常に高いことが分かります。これは、日本企業の非常に大きな強みです。

しかし、油断をしている訳にはいきません。

新興国が急激に追い上げてきているのです!

ものづくり白書の中では、新興国に負けないために、以下のような取り組みや対策が必要とされています。

  • 「他社には作れない」製品を事実上の「標準規格」化して高く売る取組
  • 現状に慢心しない技術力・品質力の飽くなき向上
  • 様々な完成品の市場動向にも注目し、完成品メーカーに対しても積極的な提案を行う

足元のシェアが高い、このような業界についても「慢心せずに」シェアをキープもしくは拡大していきたい! という日本の考えが見え隠れしています。

新たな時代において必要となるスキル人材の確保・組織作り

ものづくり白書では、「第四次産業革命において必要となる、ものづくりと AI・IoTを組み合わせることのできるスキルを持った人材の確保は引き続き課題である」とされています。

このような人材の獲得競争が始まっており、大企業であっても優秀な人材が流出しているようです。人材の育成、確保のために、以下のような取り組みが必要とされています。

  • 若手の積極的登用や評価システム見直し
  • 部門横断的組織の新設
  • 製造 ×AI・IoT のスキル人材を育てることだけでなく、彼らが活躍できる場や組
    織づくり

そういえば僕の所属している会社においても、そのような動きが見える気がします。

企業だけではなく、大学や高専でもこのような動きが見られます。例えば北九州高専では「製造業のデジタル化を担う中核人材の育成カリキュラム」を実施、今後、全国の高等専門学校へ展開するような動きとしています。

このように「ものづくりと AI・IoT」を組み合わせたデジタル人材を、産学官で育てていく取組みが必要と考えられます。

技能のデジタル化と徹底的な省力化の実施

日本の製造業の多くは、少子高齢化の問題により「人材不足」に苦しんでいます。

このため、製造業の効率を上げ、省力化していくことが大切ですよね。

ものづくり白書の中では以下のように述べられています。

付加価値の低い仕事はロボットやデジタルツールなどを活用し、人はより付加価値の高い仕事にシフトしていくことが必要となる。

また、いわゆる「匠の技」のような熟練した技能は日本の強みでした。

しかし、人材不足によりこのような強みが失われていく可能性があります。まだこのような明文化されていない「暗黙知」のような技能が残っている間に、デジタル化や AI 化を進め、暗黙知を「見える化」「数値化」「定量化」していく必要があります。

ものづくり白書は以下で読むことが出来ます。

参考にしてください。

⇒ものづくり白書(電子版書籍版

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