技術士には継続研鑽(CPD)が求められています。
技術士には、資質向上の責務があります(3義務2責務の中の一つです)。ですから、技術士の皆さんはいつでも、継続研鑽に励んでいるはずです。
さらにいままでは「一度保有してしまえば一生、技術士でいられる」という性格の資格でした。しかしながら今後は、更新制度の導入が検討されており、その際にCPD(継続研鑽)の記録が求められることになりそうです。
そのような訳で、僕たち技術士にとってCPDは非常に重要な課題です。
この記事の中で話題にしたいのは、英語の資格の中でも非常にポピュラーなTOEICの受験をどのように、また何CPD単位分登録するか?という点です。
とりあえず技術士会の指針を調べてみた
とりあえず、この件に対して技術士会の指針を調べてみることにしました。
どの形態? どの課題区分?
技術士のCPD登録の際には「形態」と「課題区分」の入力が必要です。
形態については明確な指針が出ています。
技術資格でないが CPD に資する資格(英検等)の取得は、形態「6-5」で計上する(技術士会HPより)
この書き方からすると、TOEICも6-5の形態(自己学習他)で計上するのが正しいでしょう。そして6-5-(2)に計上すべきです。
それは、技術士会のホームページの中に以下のように記載されているからです。
(2)技術士のCPDに値すると判断されるもの
①自己研究(テーマ、内容)、②学協会誌の購読③放送大学等のTV視聴、④日本技術士会が認定していないeラーニング、⑤大学、大学院、職業訓練の受講、⑥技術を通じたNPOやボランティア活動、⑦環境教育活動、⑧展示会への参加、⑨博物館の見学、⑩個人の語学学習、⑪異業種交流会・プライベートな勉強会、⑫公的な審議会の傍聴)、⑬技術資格ではないその他の資格の取得(英検等、1資格5時間を上限)など(技術士会HPより)
ですから、TOEICの受験を技術士CPDに登録する際の形態は、6-5-(2)で間違いないでしょう!!
問題は、課題区分です。これがちょっと微妙です。
課題区分については、ここに技術士会の指針が発表されています。
この中からTOEICが該当するところはどこかなぁ。。と考えてみたんですが、おそらく以下の二つのどれかになると思います。
- 10.国際交流 英語によるプレゼンテーション・コミュニケーション、海外(学会・専
門誌)への論文・技術文書の発表・掲載、国際社会の理解、各国
の文化及び歴史等 - 11.その他 教養(科学技術史など)、一般社会との関わり等、及び上記1~5、
8~10に含まれないもの
ちなみに、僕は10の国際交流で登録しています。しかしもしかしたら、11のその他で計上されている方もおられるかもしれません。どちらで登録しても、後からお叱りを受けることはないと思います。説明を求められても、どちらも説明が付きますしね。
このように僕自身は、以下の内容でTOEICをCPD登録しました。
- 形態:6-5-(2)
- 課題項目:10
じゃあTOEICを何時間計上するか?
TOEICをCPD登録する際の、登録時間に対する僕の考えは以下の通りです。
登録してもいいかなと思うTOEICの点数は何点から?
感覚的には600点以上ぐらいかなと思います。
というのも、高校で真面目に英語を勉強して、大学受験を経験していればふつうは500点台は取れるはず。そのレベをCPDに登録するのはちょっとおかしいような気がします。
ですから、僕の中では600点以上なら登録しても良いかな?と思います。
何時間登録できるの?
この点に関して技術士会の指針は以下のようになっています。
⑬技術資格ではないその他の資格の取得(英検等、1資格5時間を上限)など(技術士会HPより)
つまり、英検等のCPD登録の上限は5時間となっています。
このような考えですから、これをTOEICに置き換えた場合、TOEIC900点なら5時間登録しても問題ないかな、説明がつくかなと思います。
ですから、以下のレベルがCPD登録の妥当な時間かなと思います(あくまで僕の勝手な解釈です)。
- TOEIC900点:5時間
- TOEIC800点:4時間
- TOEIC700点:3時間
- TOEIC600点:2時間
何回も受験した場合はどうするの?
僕の場合、1年間で何度かTOEICを受験していて今年は以下の点数でした。
- 1回目 825点
- 2回目 805点
- 3回目 840点(自己最高点)
こういう場合に、どのようにCPDを登録すれば良いのでしょうか?
僕の場合は、2時間登録しました。それは以下のようなロジックです。
- 僕自身もともとTOEIC800点台をとれる力は持っている
- しかし、受験のために勉強し、今年は最高点をマーク出来た
- 本年、最高点取ったことは評価に値する。
- すくなくとも1年間に試験時間(2時間分)のCPDを登録しても問題ないはずである。
このように、1年間に何回も受験した場合どうするのか? また、最高点が出なかった場合はどう扱うのか? というところは 技術士会では明確な指針がありません。
ですから、技術士個人の判断に任されるところだと思います。自分で妥当かつ説明がつくようなロジックを考えることが必要です。
まとめ
TOEICを技術士CPDに登録する場合、
(1)技術士会の指針から判断できる内容は以下の通り
- 形態:6-5-(2)
- 課題項目:10もしくは11
- 最大CPD時間:5時間
(2)技術士個人の判断に任される内容
以下のような場合は、技術士本人が適切な扱いを検討する必要があります。
- TOEICの点数ごとの登録CPD時間数をいくらに設定するか?
- 1年間で複数回受験した場合の扱い方はどうするか?
- 自己最高点が出なかった場合の扱い方はどうするか?
なお、英語学習については「英会話ができるからTOEICや英検は受けなくていい・・・というのは間違いである理由」などの記事も書いていますので参考にしてくださいね。