部品や材料に対して、ショットブラストを施工することって多いですよね。
その目的としては、表面への被膜付着性を向上させる、バリをなどを除去する、表面を荒らして表面粗さを調整したい・・などいろいろな目的があります。
僕自身も部品を製作する際に、ショットブラストを施工することは結構頻繁にあり
ます。そんな僕ですが、仕事中にあることが疑問になったんです。
ショットブラストのやり方(施工条件)と表面粗さにはどんな関係があるのだろうか?
という点です。
この点について自分なりに調べてみましたので、
皆さんにシェアさせていただこうと思います。
なお、ショットブラストってそもそも何?と言う方のために、Wikipediaの説明を一部、抜粋しています。
ショットブラスト は、単にブラストとも呼ばれ、投射材と呼ばれる粒体を加工物(ワーク)に衝突させ、ワークの加工等を行う手法である。 対象となるワークは金属、セラミック、ガラス、プラスチック等硬質なものが主ではあるが、ゴムのような軟質なものに対しても冷却硬化させてから用いる場合がある。
この手法は主にワークのバリの除去、表面研削、梨地加工のような模様付けなど広い意味での研削に用いられているが、金属の表面近傍に残留圧縮応力を付与させることによりばねやギアなどの疲労強度の向上、耐応力腐食割れの向上等にも用いられ、これを「ショットピーニング」という。
変わった用途として投射材の素材そのものをワークに転写することによりワーク表面を改質コーティングする手法もある。(二硫化モリブデン粒子を投射しワークに転写させて摩擦を減らす加工等) (Wikipediaの説明より)
ネットで検索しても資料が見当たらない!!
この疑問に対して僕はググって答えを得ようとしました。
しかしながら、ドンピシャの資料は全く見当たらりませんでした。
見つかったのはこの資料くらいです。「日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会」の資料です。
(http://www.jasp.or.jp/pdf/12-1.pdf)
この資料ではショットブラストする際の
「ノズルとワークの角度」を
30°、40°、60°、90°と変更させて、
どのように表面粗さが変化するかを記載している記述があります。
この資料を見てみると、ショットブラスト角度が60°の位置ですと、
少し表面粗さが小さくなったようです。
英語で検索すると面白い記事が出てきた
英語で検索すると面白い文献(論文)がでてきました、この論文ではアルミに対し
て、様々な条件でショットブラストを施工し、その表面粗さを計測しています。
SURFACE ROUGHNESS AT ALUMINIUM PARTS SAND BLASTING
https://pdfs.semanticscholar.org/1f88/e21a269df2435f65c2b80fcf9e1de5a3fa29.pdf
変化させている条件は以下の通り
①グリッド(投射材)の直径
②ノズルとワークの距離
③ノズルとワークの角度
以上の条件を振って、8系統で実験をしています。
その結果を読み取って、僕なりにまとめたのが以下の表です。
そして、粗さが粗い順に順位を付けてみました。
何がわかるでしょうか?
- グリッドの径が大きいほうが粗くなる
- グリッド径が同じなら、ノズルとワークと距離及び角度の組み合わせで粗さが変
わる
こんな感じですね。
つまり、このデータを見ていると、以下のように思えてきます。
グリッドの直径が表面粗さには支配的な影響を与える。
その他はやってみないとわからないくらいのレベルじゃないかな。
大体このように理解しておけばいいのではないかな?
というのが僕の結論です。
実際に実験してみたい感じがしますね(笑)!
今回の例で学んだこと
- たかがショットブラストだけど、希望しているような資料はなかなか出てこな
い。 - 英語で検索すると結構出てきた。技術者は英語が大切(技術者に「英語」が必要である理由)。やっぱり世の中の技術的な資料はほとんど英語で書かれているんですよね。
- ショットブラストの条件に関する文献は意外と少ない。
- ショットブラストの条件を割り振って表面粗さを計測するだけで、しっかりとした論文が書けそうだ(まだまだ研究出来そうなことが多い分野だ)。
なかなかいい勉強になりました。