炭素以外の元素が溶接性に及ぼす影響(CrとかMoとか)海外で知らない材料に出会ったとき

海外で生産マネジメントをしていると、日本ではお目にかかることのない海外規格の材料にお目にかかることがあります。

この件については、「海外生産拠点における生産マネジメントで苦労話 あるある・・・」の記事の中でも触れています。これって結構苦労するんですよね。

それで、僕が最近結構困ってたのが、

「この材料は溶接に向いているか」

「それとも溶接に向いていないのか」

という判断です。

日本の材料だと判断が付きやすいんですよね・・・。しかし、海外で聞いたことがない材料に出くわしたときは結構悩んでしまいます。

今回は僕がこのようなケースで判断する指標にしている「手法」を紹介させていただこうと思います。

僕は溶接や材料の専門家ではありませんので難しい内容は説明できませんが、一般的な考え方として、覚えておくと役に立つと思いますよ。

炭素量(C)の多い鋼材は溶接しにくい

例えば、一般的に炭素(C)の含有量の多い鋼材は溶接に向いていないと言われています。ですから、例えばS45Cは炭素元素が0.45%程度と他の鋼材よりも多く含まれている、いわゆる「炭素鋼」であるため、溶接構造の部品にはあまり使われません。

もちろん、適正に管理すれば炭素鋼も溶接できるのですが、僕は材料や溶接の専門家ではありませんので、これ以上話すとボロがでます(笑)。このくらいでやめておきます。

ただ、炭素含有量が多い材料は溶接しにくいというのは、溶接業界では一般的なことですので覚えておいたほうが良いと思います。

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炭素元素の量以外の要素もある

炭素元素を含む、鋼材中の元素の割合によって溶接性変化を受けます。

一般的に、含有する元素の種類ごとの溶接性に関わる指標は、以下のように表されます。

鋼材としての成分が、溶接部の性能に与える影響に関する指標として、次の2つが一般化しています。

・炭素当量(Ceq) :

Ceq(%)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14

各元素が炭素に換算するとどれほどの影響があるか表したもの。

・溶接割れ感受性組成(PCM):

PCM(%)=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B

各元素が溶接割れの感受性に炭素換算でどれだけ影響するか表したもの

なお、各元素記号の意味は以下の通りです(元素周期表も参考にしてください)。

元素周期表

  • C:炭素
  • Si:シリコン
  • Mn:マンガン
  • Ni:ニッケル
  • Cr:クロム
  • Mo:モリブデン
  • V:バナジウム
  • B:ホウ素
  • Cu:銅

このように、鉄鋼中の各元素が炭素元素と比較して、どの程度溶接性に影響があるかをCeqとPCMという二つの指標で表すことが出来ます。

結構よく使う「SCM材(通称:クロモリ)」はモリブデンやクロムが含まれています。溶接性に影響がありますね。

この内容については、材料メーカのホームページ等にも資料が掲載されていますので参考にしてください(例:JFEスチールさんのホームページ)。

聞いたことがない材料の場合CeqとPCMを計算すれば良い!

海外で聞いたことがない材料に出会った場合。

そしてそれを溶接していいかどうか、判断に迷った場合、僕は以下のプロセスで溶接可否を判断しています。

  • まずはミルシートを確認して材料の化学成分含有割合を調べる。
  • CeqとPCMを計算する
  • その大きさによって溶接してよいかどうか判断する

このやり方でやれば、大きなミスを犯すことはなさそうです。

国が違えば材料規格も違うけども。。。

このように国が違えば、材料規格も違います。溶接性に限らず色々と迷うことがあります。

しかしながら、材料に関わる原理原則が変わってしまうわけではありません。どんな場合でも引っ張り強度や、降伏点、材料の化学成分は意識しなければなりません。この原則を守っていればどこの国でも対応できますよね。

国によって規格が違っても、同じ機械的性質、化学成分、熱処理履歴があれば基本的には「同じ材料」のはずです。特に恐れる必要はありません(材料欠陥などの違いがあるケースもありますが・・・)。

しかしながら、注意しなければならないことがあります。

それは、各国の法令やお客様さんからの指定で、使用する材料が定められている場合です。この場合、化学成分や機械的性質が一緒だからといって、指定された材料規格以外の材料を使うと大きな問題になります。場合によっては社会的に大きな問題になることもあります。

このケースは注意しましょうね!

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