公害総論解説(令和4年度版)


このページでは、文系出身の管理人 ろど・すた子が『新・公害防止の技術と法規(通称:電話帳)』を片手に令和4年度 公害総論の解説をしていきます。
ろど・すた子個人の考え方で解説をしているので、分かりにくい点や間違っている点などがあるかもしれません。そのような解説を発見されましたら、ご連絡を下されば幸いです。
それでは早速、令和4年度 公害総論の解説を始めます!

問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 問14 問15


問1 環境基本法の基本理念に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものはどれか。
環境の保全は,(1)社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動が(2)すべての者の公平な役割分担の下 に(3)有機的かつ総合的に行われるようになることによって,健全で恵み豊かな環境を維持しつつ,環境への負荷の少ない(4)健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし,及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が(5)未然に防がれることを旨として,行われなければならない。

解説

環境基本法の基本理念についていは、環境基本法の第4条に記載されている。

環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。

(3)有機的かつ総合的 → 正しくは 自主的かつ積極的

よって、正解は(3)


問2 環境基本法に規定する環境基準に関する記述中,下線を付した箇所のうち,正しいものはどれか。
(1)は,大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について,それぞれ,人の健康を保護し,及び生活環境を保全する上で(2)確保されることが望ましい基準を定めるものとする。
2  前項の基準が,二以上の類型を設け,かつ,それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には,その地域又は水域の指定に関する事務は,次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ,当該各号に定める者が行うものとする。
一  二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの (2)
二  前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ,当該イ又はロに定める者
イ  騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒
音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの (3)その地域が属する都道府県の知事
ロ  イに掲げる地域以外の地域又は水域 (4)その地域又は水域が属する市の長
3  第一項の基準については,(5)常に適切な科学的判断が加えられ,必要な改定がなされなければならない。
4  (略)

解説

環境基本法に規定する環境基準は、環境基本法の第16条に記載されている。

政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
2 前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。
一 二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
二 前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事
3 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
4 政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。

(1) → 正しくは 政府

(2) → 正しくは 政府

(3)その地域が属する都道府県の知事 → 正しくは その地域が属する市の長

(4)その地域又は水域が属する市の長 → 正しくは その地域又は水域が属する都道府県の知事

よって、正解は(5)


問3 環境基本法の基本理念に関する記述中,ア~エの【  】 の中に挿入すべき語句の組合せとして,正しいものはどれか。
環境の保全は,環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び【 ア 】が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の【 イ 】である限りある環境が,人間の活動による環境への【 ウ 】によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ,現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の【 エ 】を享受するとともに人類の存続の【 イ 】である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
【ア】 【イ】 【ウ】 【エ】
(1) 自然環境 基本 負荷 恩恵
(2) 生態系 基盤 負荷 恵沢
(3) 自然環境 基盤 影響 恩恵
(4) 生態系 基本 負荷 恩恵
(5) 自然環境 基本 影響 恵沢

解説

環境基本法の基本理念に関して、環境基本法の第3条に記載されている。

環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。

よって、正解は(2)


問4 環境影響評価法に規定する目的に関する記述中,下線を付した箇所のうち,誤っているものはどれか。
この法律は,(1)土地の形状の変更,工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ,環境影響評価について(2)事業者等の責務を明らかにするとともに,(3)規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め,その手続等によって行われた(4)環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により,その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し,もって(5)現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。

解説

この問題は、環境影響評価法の第1条について問われています。

この法律は、土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価について国等の責務を明らかにするとともに、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。

(2)事業者等の責務 → 正しくは 国等の責務

よって正解は(2)


問5 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) 特定事業者が都道府県知事から命じられた公害防止統括者の解任命令に違反したときは 20 万円以下の罰金に処せられる。
(2) 特定工場を設置している特定事業者は,当該特定工場に係る公害防止業務につき公害防止統括者を選任しなければならないが,常時使用する従業員の数が20 人以下の小規模事業者はこの限りではない。
(3) 都道府県知事から特定事業者に対する解任命令により解任された公害防止管理者は解任の日から 2 年を経過しない間は公害防止管理者になることができない。
(4) 特定事業者は公害防止統括者を選任したときは,その日から 30 日以内にその旨を届け出なければならない。
(5) 特定事業者は公害防止主任管理者を解任したときは,その日から 30 日以内にその旨を届け出なければならない。

解説

特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の第16条には、公害防止統括者の解任命令に違反した時には50万円以下の罰金の処するので、(1)は誤り。

よって、正解は(1)


問6 公害・環境問題とその原因物質との組合せとして,誤っているものはどれか。
(公害・環境問題) (原因物質)
(1) 酸性雨 窒素酸化物
(2) 地下水汚染 トリクロロエチレン
(3) 四日市ぜん息 硫黄酸化物
(4) イタイイタイ病 ひ素化合物
(5) 海洋汚染 マイクロプラスチック

解説

(4)のイタイイタイ病の原因物質は、カドミウムなので誤り。

よって、正解は(4)


問7 我が国の 2019(令和元)年度における環境への排出量が,2013(平成 25)年度の排出量よりも減少した温室効果ガスとして,誤っているものはどれか(環境省:令和 3 年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
(1) 二酸化炭素
(2) メタン
(3) 一酸化二窒素
(4) 六ふっ化硫黄
(5) ハイドロフルオロカーボン類

解説

2019年度のCO2排出量は11億800万トンCO2(2013年度比15.9%減少)、CH4排出量は2,840万トンCO2(2013年度比5.4%減少)、N2O排出量は1,980万トンCO2(同7.5%減少)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)排出量は4,970万トンCO2(同54.8%増加)、六ふっ化硫黄(SF6)排出量は200万トンCO2(同3.6%減少)

令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より引用)

(5)のハイドロフルオロカーボン類のみ増加しているので誤り。

よって、正解は(5)


問8 成層圏オゾン層破壊の原因となる化合物(ハロカーボン類)のうち,大気中の濃度が最近まで増え続けてきたものはどれか。

CFC :クロロフルオロカーボン
Halon :ハロン
HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン

(1) CFC‒12
(2) Halon‒1211
(3) HCFC‒22
(4) 1,1,1‒トリクロロエタン
(5) 四塩化炭素

解説

気象庁が作成した、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)に報告されたデータを用いて作成した経年変化図によると、大気中の濃度は以下のように推移している。

(1)CFC-12

(2)Halon-1211

(3)HCFC-22

(4)1,1,1-トリクロロエタン

(5)四塩化炭素

気象庁より引用)

グラフより、大気中の濃度が増え続けているのは(3)HCFC-22ということが分かる。

よって正解は(3)


問9 光化学オキシダントに関する記述として,誤っているものはどれか(環境省:令和 3 年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
(1) 環境基準は, 1 時間値の 1 日平均値として 0.06 ppm 以下である。
(2) 環境基準を達成した測定局の数は非常に少ない状況が続いている。
(3) 200 局以上の一般環境大気測定局において,昼間の 1 時間値の年間最高値が0.12 ppm を超えている。
(4) 長期的な環境改善傾向は, 8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイル値の 3 年平均値で評価されている。
(5) 2020(令和 2 )年の光化学オキシダント注意報の発令延日数を月別にみると,8 月が最も多かった。

解説

光化学オキシダントの環境基準は、「1時間値が0.06ppm以下であること」なので(1)は誤り。

よって、正解は(1)


問10 水質汚濁の現状に関する記述として,誤っているものはどれか(環境省:令和元年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果(概況調査)による)。
(1) 人の健康の保護に関する環境基準(27 項目)の達成率が最も低いのは,河川,湖沼,海域のうち,河川であった。
(2) BOD 又は COD の環境基準の達成率が最も低いのは,河川,湖沼,海域のうち,湖沼であった。
(3) 公共用水域において,人の健康の保護に関する環境基準の超過率が高い項目は,ひ素,ふっ素であった。
(4) 地下水の調査実施井戸約 3200 本のうち環境基準を超過する項目がみられた井戸は, 2 %以下であった。
(5) 地下水の環境基準の超過率が高い項目は,硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素,ひ素であった。

解説

2019年度の地下水質の概況調査の結果では、調査対象井戸(3,191本)の6.0%(191本)において環境基準を超過する項目が見られた。

令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より引用)

よって、正解は(4)


問11 土壌汚染及び地盤沈下の現状に関する記述として,誤っているものはどれか(環境省:令和 3 年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。
(1) 2019(令和元)年度における土壌汚染の調査事例件数の 40 %弱で,土壌環境基準等を超過する汚染が認められた。
(2) 土壌汚染が判明した事例では,ふっ素,鉛,ひ素等による汚染が多い。
(3) 土壌汚染の超過事例件数は,この 10 年間で半減している。
(4) 東京都区部,大阪市,名古屋市等では,地盤沈下は沈静化の傾向をたどっている。
(5) 消融雪地下水採取地,水溶性天然ガス溶存地下水採取地など,一部地域では依然として地盤沈下が発生している。

解説

令和3年版環境白書。循環型社会白書・生物多様性白書より、以下のグラフを見てみると、土壌汚染の超過事例件数は、この10年間で半減していないことがわかる。

令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より引用)

よって、正解は(3)


問12 騒音・振動及び悪臭の苦情件数に関する記述として,誤っているものはどれか(令和元年度総務省公害等調整委員会報告書,令和元年度環境省騒音規制法施行状況調査報告書及び振動規制法施行状況調査報告書による)。
(1) 典型 7 公害の種類別苦情件数は,騒音が最も多い。
(2) 典型 7 公害の種類別苦情件数において,振動の苦情件数は,悪臭の苦情件数
より多い。
(3) 典型 7 公害の総苦情件数に対する振動苦情件数の割合は,近年ほぼ横ばいの
傾向にある。
(4) 振動の苦情件数と騒音の苦情件数との比率は,近年ほぼ一定で推移している。
(5) 騒音及び振動の苦情件数を発生源別にみると,どちらも建設作業が最も多い。

解説

典型7公害の種類別苦情件数については、下記のグラフで確認できる。

振動の苦情件数は、悪臭の苦情件数よりも少ないので(2)は誤り。

令和元年度公害苦情調査結果概要より引用)

よって、正解は(2)


問13 次の 3 種類の産業廃棄物を 2018(平成 30)年度における最終処分比率(最終処分
量/排出量)の高い順に並べたとき,正しいものはどれか。
(1) 廃プラスチック類 > ゴムくず     > 燃え殻
(2) 廃プラスチック類 > 燃え殻      > ゴムくず
(3) ゴムくず     > 廃プラスチック類 > 燃え殻
(4) 燃え殻      > 廃プラスチック類 > ゴムくず
(5) ゴムくず     > 燃え殻      > 廃プラスチック類

解説

産業廃棄物の排出・処理状況(平成30年度実績)について 】をみてみると、

最終比率が高い順に、ゴムくず(37%)、燃え殻(17%)、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(16%)、廃プラスチック類(15%)等となっている。

よって、正解は(5)


問14 ダイオキシン類に関する記述として,誤っているものはどれか。
(1) ダイオキシン類対策特別措置法で定義されているのは,ポリ塩化ジベンゾフラン,ポリ塩化ジベンゾ‒パラ‒ジオキシン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルである。
(2) 最も毒性の強い 2,3,7,8‒テトラクロロジベンゾフランの毒性を 1(基準)として,その他毒性のある異性体の毒性は,相対的な毒性を表わす毒性等価係数(TEF)で表わされる。
(3) ダイオキシン類は通常,複数の異性体の混合物として存在する。
(4) 排出量は各異性体の量に TEF を乗じて,それらを足し合わせた値(毒性当(等)量)として算出される。
(5) 2019(令和元)年におけるダイオキシン類の排出総量は,第 3 次計画のダイオキシン類削減目標量を下回っており,削減目標は達成されている。

解説

毒性等価係数(TEF=Toxicity Equivalency Factor)とは、「ダイオキシン類」の中で最も毒性の強い 2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TCDD)の毒性の強さを基準 (1) としたときに、他の異性体の毒性の強さを相対的に表した換算係数のことである。

したがって、(2)は誤り。


よって、正解は(2)


問15 環境影響評価法に基づく環境アセスメントを必ず実施する事業(第 1 種事業)として,誤っているものはどれか。
(1) 太陽電池発電所 出力 2 万 kW 以上
(2) 地熱発電所   出力 1 万 kW 以上
(3) 水力発電所   出力 3 万 kW 以上
(4) 火力発電所   出力 15 万 kW 以上
(5) 原子力発電所  すべて

解説

太陽電池発電所は出力4万 kW 以上なので、(1)は誤り。

よって正解は(1)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク