品質管理の分野で使用される用語として「工程能力」と「工程能力指数」は非常に重要です。しかも、非常に基本的なワードなので製造業にかかわる方は知っておくと便利だと思います。
この内容はQC検定や技術士(経営工学部門)など品質および生産管理系の資格の中でたびたび出題されます。ですから試験対策として確認しておくのも良いでしょう。
「工程能力」に関するよくある勘違い
「生産管理の基本と仕組み」の本の中では、工程能力に関するよくある勘違いについて以下のように説明されています。
工程能力を工程の生産数を表す能力と勘違いしている人がいますが、それは間違いです。工程能力とは、安定した工程が生み出す品質特性値のばらつき幅のことです。
たしかに、工程能力と聞くと、
「工程の能力だから生産数や量を表す能力」
と勘違いしてしまう人もいそうですよね。
まずは、工程能力は「品質に関わる用語」と言うことを押さえておきたいですね。
「工程能力」と「工程能力指数」の定義
工程能力(process capability)はJISの中で以下のように定義されています。
安定した工程の持つ特定の成果に対する合理的に到達可能な工程変動を表す統計的測度。通常は工程のアウトプットである品質特性を対象とし,品質特性の分布が正規分布であるとみなされるとき,平均値±3σで表すことが多いが,6σで表すこともある。また,ヒストグラム,グラフ,管理図などによって図示することもある。工程能力を表すために主として時間的順序で品質特性の観測値を打点した図を工程能力図 (process capability chart) という。(JIS Z 8101-2)
これに対して、工程能力指数(process capability index)は以下のように定義されています。
特性の規定された公差を工程能力 (6σ)で除した値。(JIS Z 8101-2)
すこしわかりにくいですが、これがJISで定義されている内容です。いわゆる「定義」です。
QC検定のテキストの説明がわかりやすい
こういう難しい定義の用語をわかりやすく解説してくれているのは、やっぱりQC検定のテキストです。僕は品質関係の用語で難しいなぁ・・・と思うものはいつもQC検定のテキストで学習するようにしていますよ。
ちなみに、QC検定3級 テキスト&問題集の中では、「工程能力」と「工程能力指数」ンついて以下のようにシンプルに説明されていました。うん、この説明がわかりやすいです。
工程能力とは、定められた規格限度内で製品を生産できる能力のことで、工程能力指数とは、その評価を行う指標のことを表します。一般的にCpの記号で表示されます。
工程能力指数を計算式
この計算方法について学ぶ前に、事前に【まとめ】QC検定3級に出てくる基本統計量の式と説明の内容を確認しておいてください。これらが分からないと、計算式の意味が分かりダウライと思いますので・・・。
さて、工程能力の式は以下のようにあらわされます。
(1)両側規格の場合
(2)片側規格の場合
①上限規格の場合
②下限規格の場合
一般的に、上記の式で計算された工程能力指数が1.33以上であれば、工程能力は十分であると言われています。とはいえ、工程能力は高ければ高いほどよいと言う訳ではありません。
以下にwikipediaの説明を抜粋します。
推奨される下限値 状況 両側規格の場合 片側規格の場合 既存の工程 1.33 1.25 新規の工程 1.50 1.45 既存の工程
(危険性を左右する特性)1.50 1.45 新規の工程
(危険性を左右する特性)1.67 1.60 シックス・シグマ 2.00 2.00 2.5以上の値は無意味である。生産コストに跳ね返るので過剰に精度を追求するようなことをしてはならない。
と言う訳なので、高すぎても無駄なコストをかけてしまうことがあるので要注意です。
Cpkとは何か?
特性値の平均値が規格幅の中心から外れている場合、Cpkを用います。つまりCpkとは偏りを考慮した工程能力指数であると言えます。
Cpkは以下の2パターンの導き方があります。
(1)片側規格の式を用いてCpを求め小さい方を選択する方法
①と②を計算して小さい方がCpkとなります。
①上限規格の場合
②下限規格の場合
(2)平均値に近い方の規格値を用いて片側のCpを求める方法
結果的には(1)でも(2)でも、同じCpkの値となります。
経営工学部門の技術士を目指す方は「工程能力指数」は絶対覚えておきましょう!
経営工学部門の技術士の僕ですが・・・工程指数の式をふとした瞬間に忘れてしまうことがあります。恥ずかしいので(笑)、絶対に忘れないようにしたいと考えています。
皆さんも、試験に出ますので(笑)確実に覚えておきましょう!!
工程能力指数とか、技術士受験の時に勉強したけど、もうすでにかなり忘れてしまっている。CPD大事だなあ。本当に。経営工学の技術士でぱっと式が言えなかったら、恥ずかしいもん(笑)。#技術士 #経営工学 pic.twitter.com/60B51Rau2M
— めたのさえた (@kougainet) 2019年2月6日