2018年度、公害防止管理者の資格試験の合格発表ならびに試験統計情報の発表がありました。僕は公害防止管理者のホームページを運営しています。そんなわけで、この試験統計情報を読んでいます。そうすると大きな傾向として「受験者が減っている」事が分かります。
ここ10年の間に受験者数が減少してきています。
このように、国家資格が必要な業務についての有資格者数が足りないということが結構あるようです。看護師も絶対的に足りないと言われています!
今回は「有資格者不足の問題」と「外国人労働力活用の問題」の関係について考えてみようと思います。
僕は、
資格が必要な業務が外国人参入のネックになるかも
と思っているのです!
有資格者の人数が足りないといわれている
僕が所属している組織でもは、公害防止管理者の人数が足りていません。
僕は公害防止管理者の代理人として勤務しています。しかし、仮に僕が転職したりすると次に公害防止管理者の代理人になれる有資格者がいないんです・・・・
このようにどこの工場でも「公害防止管理者の枯渇問題」が発生しています。
以下の環境省が公開している資料をご覧ください(出典:公害防止管理者制度の実情)。
約10年前(平成21年)の資料で、現時点の状況がどうなっているかは正確にわかりません。
公害防止管理者の高齢化が進んでいます。亡くなっておっれれる方もおられるでしょう。このことを考えると、現行の公害防止管理体制を維持していくのはすごく厳しいだろうと想定できますよね。
他の資格でも、有資格者の減少が問題になる資格は増えてくると思います(それに対して電験三種は安定した受験数を誇っており、いいですよね・・人気資格は)。
技術士一次試験の合格発表者名簿を見て気づいたこと
技術士試験は1次試験、2次試験とも合格者の名前が官報に公開されます(技術士試験の合格をSNSで報告する際に注意してほしいこと! 受験番号を記載してはダメです!)。
合格者名簿を見ていると・・・最近、
外国の方と思われる方の名前が少しずつ増えてきています。
公害防止管理者試験は「マークシート方式」に対して、技術士試験は1次試験はマークシートのみだけですが、二次試験は「筆記メイン」の試験となっています。
外国人の方にとっては「専門知識」だけではく、「高い日本語能力」が求められるということになります。仮に僕が英語で技術士試験を受験しなければならないとして、受かる自信は全くありません。ですから、日本語の技術士試験を受験して合格される外国人の方は非常に優秀ということが想定できます。
日本は外国人の労働力に頼らざるを得ない
現在、外国人労働者の受け入れ拡大が叫ばれています。
それはそうですよね。日本は高齢化が進んでおり、労働人口が急激に減少しています。
これは先進国全体に発生している問題です。先進国はどこも「外国人労働者に来てもらわないと国の労働力が全く足りないよ!」という状況になりそうなのです。
ですから、外国人に労働を奪われるとか、外国人がたくさん日本に来て治安が悪化しそう・・・なんて言っている場合ではないです。
- 外国人労働力に日本に来てもらわないと国が成り立たない
- 外国人が日本に「来ていただく」仕組みを作らないと、他の先進国に外国人労働者が奪われてしまう!
という重大な危機に面しているのが現実の日本の状況です。
特に製造業、建設業、農業、水産業、介護、農業など・・・全く人材が足りないという話を身近でもよく聞きますよね。僕は製造業に携わるものですが、本当に労働者が足りない!と実感することが多いです。
身の回りの企業の様子を見ていても、
「仕事はたくさんあるけど働き手がいないよ!」
という会社が本当に多いんです。
ですから、外国人が日本に来るのは嫌なんて言っている場合ではありません。「来ていただくスタンス」でないとこれらの日本はまわっていきません。
資格が必要な業務が外国人参入のネックになるかも
このように考えると、私たちは外国人労働者に頼らざるを得ないのですが・・・資格マニアの僕にとって少し懸念があります。
資格がなければできない業務があります。
例えば、前述の公害防止管理者試験。
その他にも、製造業では電験、エネ管、危険物取扱などが必要な業務があります(【一挙公開!】生産管理部門でスキルアップするために必要な資格一覧!!)。
建設業では施工管理技士や技術士、介護・看護分野では、介護福祉士や看護師が足りなくなってくるでしょう。
技術士の資格は国際的に相互認証があるので問題にはなりづらいかもしれません。
しかしながら、国際相互認証がない資格の方が多いです。
ですから、このような資格が必要な業務に参入したい外国人の方は「日本の国家試験」を受験して合格する必要があります。
そうなると、専門的な知識や能力だけでなく「高い日本語力」がないと試験自体に合格することが出来ませんよね!!
この、高い日本語力を身に着けなければならないことが障壁となって、資格が必要な業務への外国人の参入が遅れてしまうことが想定されます。
それでは困ってしまいますよね。
だって、公害防止管理者のように現時点で有資格者が足りない資格が多いです(例えば看護師不足は深刻と言われています)。
この問題を克服するには以下の手法があります。
- 資格の相互認証を行う
外国で類似の資格を持っている人は、日本でもその資格を活かせるようにする。 - 資格試験を日本語だけではなく「英語」や「中国語」など外国語で実施する
外国人の「日本語の壁」を排除することが出来ます。
このような方法をとることで、問題を緩和することが出来るのではないかと思います。このように「外国人に合わせてもらう」のではなく、日本人の側が変化し「外国人に合わせる」取り組みが必要です。
まとめ
外国人労働力の受け入れにはこのような「資格取得の壁」があると思います。
受け入れの法案に加えて、「資格取得の壁」を壊すことが出来る仕組みが必要なのではないでしょうか。