公害総論 環境基本法について

環境基本法

環境基本法は、下記のような目的のために制定されました。

『この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。(環境基本法 第1条)』

環境基本法の基本理念は次の3点です。

  • 環境の恵沢の享受と継承等(環境基本法 第3条)
  • 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等(環境基本法 第4条)
  • 国際的協調による地球環境保全の積極的推進(環境基本法 第5条)

また環境基本法は、1993年(平成5年)に従来あった公害対策基本法や自然環境保全法で行う対応では、複雑・地球規模化していく環境問題に対応できないという理由で制定されました。そのため、環境基本法の施行に伴って、公害防止対策基本法は廃止され、自然環境保全法は環境基本法の趣旨に沿って改正されました。

(過去問題からよく出題されている環境基本法をピックアップしてみました。こちらの記事もご覧ください。⇒「よく出る環境基本法 徹底分析!」)
では、環境基本法についての問題を解いてみましょう。

正しいものを一つ選べ

    1. 国及び地方公共団体は、環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上の措置を講じる義務を負うが、財政上の措置を講じる義務は負わない。
    2. 地方公共団体は、その地方公共団体の区域において工作物の新設等を行う事業者が予めその事業に係わる県境の保全への適切な配慮を推進するため、必要な措置を講じる義務を負う。
    3. 国は、国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるために8月5日を環境の日と定め、また、8月を環境月間と定める。
    4. 国は、自然環境の保全が特に必要な区域における土地の形状の変更等、その適正な保全に支障を及ぼす恐れがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置を講じる義務を負うが、地方公共団体は、環境基本法上は当該義務を負わない。
    5. 国及び地方議会は、政府に対して環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じるべき施策について、意見書等を提出する義務を負う。

(ハドニスさん提供)

答え(4)

解説

  1. 法11条からの作成であり。「国及び地方公共団体」は間違いで「政府」が正しい。
    「財政上の措置を講じる義務を負わない」は誤りで、財政上も含めた「その他の措置を講じなければならない」が正しい。
  2. 法20条からの設問で地方公共団体が義務を負うは誤りで国が義務を負う。
  3. 法10条からの設問で環境の日は「6月5日」で環境月間等の定めはない。
  4. 法21条からの作成で正しい。
  5. 法12条からの作成で「国及び地方議会は」は誤りで、「政府は」が正しい。また「政府に」ではなく「国会に」が正しい。更に「意見書の提出」ではなく「報告を提出」が正しい。また「毎年」提出する必要がある。

 (ア)は、環境の保全に関する施策の(イ)な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画を定めなければならない。

(ア)     (イ)

1.環境庁長官   持続的
2.政府      総合的かつ計画的
3.政府      持続的
4.環境庁長官   包括的
5.都道府県知事  総合的かつ計画的

答え(2)

環境基本法第十五条
政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
とあるので、②ですね。

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コメント

  1. […] 実は、「環境の日」は環境基本法の中に規定されている立派な法律用語です。 […]