毎年更新している「公害防止管理者 過去試験の合格率データなど」。
2018年度の試験は「平成最後の公害防止管理者試験」でした。
ですから、特別に細かいところまで眺めて、考察してみました。
●まずは全体像から
以下が、公害防止管理者試験が始まってから現在までの受験者数と合格率の推移です。
公害防止管理者試験の受験者が10万人を超えていた時もあったようですが、今年は平成最後の公害防止管理者試験なのに・・・なんと22,741人と直近約11年で最低の水準でした。
それに対して合格率はやや高めの27.2%となっています。
僕は、経営工学部門の技術士です。
経営工学部門の専門家らしく(笑)、パレート図で今までの累積公害防止管理者数を表現してみました。
合格者総数が一番多い試験区分は、
(1)水質1種です。続いて(2)大気1種、(3)騒音、(4)水質4種、(5)水質2種、(6)ダイオキシン
となっています。
パレートの法則で言うと、
以上の6区分で公害防止管理者合格総数の8割以上を占めています。
従来の「騒音」、「振動」という区分はなくなりました。
その結果、今後は「騒音・振動」が徐々に増えていくんでしょうね。
●少しマニアックに見ていってみましょう(笑)
今までの内容は、ごく一般的な内容でした。以降は、少しマニアックに見ていきたいと思います。興味のある方はお付き合いください!!
2018年公害防止管理者試験の棄権率は??
どの試験でも資格試験には「申し込みはしたけど結局受けなかった」という方が結構おられます。では、今年の公害防止管理者試験の棄権率はどれくらいだったのでしょうか?
- 申込者:25,987人
- 受験者:22,741人
- 受験率:87.5%
- 棄権率:12.5%
以上のように、棄権率は12.5%となっています。
ちなみに、同じく設備系の資格である電験三種と比較してます。
2018年度の電験三種の受験申込者数は64,974名、これに対して受験者は45,720名となっています。つまり受験率は69.4%です。つまり、棄権率は30.6%!
公害防止管理者試験の棄権率は電験三種の棄権率の半分以下です。公害防止管理者試験を受験される方々は律儀に受けに行かれる方が多いのが特徴ですね(笑)。
受験料が上がって、ずいぶん高くってしまいました。もったいないですので皆さん、ちゃんと試験を受けに行きましょうね。
科目免除者と全科目受験者の割合はどうなっている?
公害防止管理者試験は科目合格制度が導入されています。そのため不合格だった場合でも、どれか1つでも合格した科目があれば、次に試験を受ける場合申請をすればその教科は受験免除になります。免除の期間は合格した年の初めから3年以内となっています(公害防止管理者試験の科目試験免除についてを参照してください)。
(例)大気4種の場合
試験科目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|---|
公害総論 | ○ | 免除 | 免除 | ○ |
大気概論 | × | ○ | 免除 | 免除 |
大気特論 | × | ○ | 免除 | 免除 |
ばいじん・粉じん特論 | × | × | × | ○ |
合格判定 | 不合格 (科目合格) |
不合格 (科目免除) |
不合格 | 合格 (資格取得) |
では、2018年度の試験の、科目免除者の割合はどうなっていたでしょうか??
2018年度のデータ
- 受験者:22,741人
- 科目免除なし:9,640人
- 科目免除あり:13,101人
- 科目免除者の割合:57.6%
以上のように科目免除者の方が多い「57.6%」となりました。
平成17年度から始まった科目免除制度がずいぶん浸透してきたことがうかがえます。合格者のうち「科目免除者」と「全科目受験者」の割合は公開されていません。しかしながら、このデータを見る限り科目合格者の方が合格人数が多そうですね。
2018年度公害防止管理者試験の区分ごとの合格率
公害防止管理者試験の区分ごとの合格率を以下のグラフにまとめました。
このグラフをみて僕が気になったことは。
- ダイオキシン類の合格率が高い(約半数が合格の49.1%)
- 大気1~4の中で大気1種が最も合格率が高い!
ダイオキシン類の合格率の高さが際立ちます。僕(めたのさえた)自身もダイオキシン類を保有しています。自分の経験からもダイオキシン類は簡単だったと思います。
ですからまず、ダイオキシンを受けて合格し、それから他の区分をチャレンジするのも良い戦略かもしれません。
そうすれば公害総論の科目免除が生涯有効になります。公害総論の科目免除があれば他の区分の試験を受けるときにもずいぶん楽になると思います。
大気一種は公害防止管理者試験の中で最高に難しい区分だと思っています。
それにもかかわらず、大気一種の合格率は比較的高い「32.8%」です。当然、1種より科目数が少ない「2~4種」の方が試験の難易度は易しいです。しかしながら合格率の点で見ると逆転現象が起こっています。このことを考えると、大気一種を受ける方のレベルが高く、学習意欲が高いことが予想されます。
それに対して、一番簡単なはずの大気4種が大気の中では最も合格率の低い「24.2%」です。もしかしたら大気4種の受験者の中には「記念受験」の方も多いのかもしれませんね・・・。
各受験会場ごとの特徴とは?
僕は、「各受験会場ごとに合格率に違いがあるのだろうか?」と言う点に非常に興味を持っています。しかしながら、公式の試験結果のデータには会場ごとの「受験者数」は掲載されていますが、「合格者数」は掲載されていません・・・・(残念)。
でも、ここであきらめたら面白くありません(笑)。
会場ごとの合格者数を調査する方法が一つだけあります。
それは、各受験会場ごとの合格者の受験番号の数を数えていくというもの・・・。
(参考資料:社団法人産業環境管理協会 平成30年度国家試験結果の概要)
上記の受験地の公害防止管理者試験合格者の受験番号を数えていくことになります(出典:産業環境管理協会のホームページより)。
地道な作業となりましたが・・・数えてみましたよ。
調べてみた(頑張りました・・・苦労しました・・・)
まずは生データです。各試験会場ごと、各区分ごとの合格者数を調べて全体の合格率を計算しました。太字の数字は最上位を示しています。
受験者が多い東京会場が、最も多い合格者数を誇っているのは当然のことです。
しかし、以下の点が気になりませんか?
- なぜか受験者が少ない北海道会場の一般粉じん合格者が多い!
- 広島会場の合格率が高い!
特に、受験者が少ない北海道会場の一般粉じん合格者が多いのが気になります。
北海道の環境・公害問題に何らかの特色があるんですかね・・・。
以下にグラフを作ってみました。
これらの情報が皆さんに少しでも参考になれば幸いです(笑)
コメント
[…] ⇒2018年の公害防止管理者試験の結果を徹底的に眺めてみたよ!! […]