ドラマ「下町ロケット」で島津役で出演されている「イモトアヤコ」さん。
島津さんは、
帝国重工 ⇒ ギアゴースト ⇒ 佃製作所
と活躍の場所を移していくことになります。
島津さんの発言の中で、
「ここの”バックラッシュ”を”こんまいち”にしたらどうか?」
みたいなセリフがありました。
「バックラッシュ」や「こんまいち」というような表現って、技術者が非常によく使う言葉です。でも、一般の方はよくわからないですよね。
この記事では、下町ロケットのセリフに出てきた、「バックラッシュ」と「こんまいち」という表現について解説したいと思います。僕は経営工学の技術士ですが、一応、技術士一次試験は機械部門で合格していますしね(笑)。
非常にマニアックな記事になり申し訳ないです(笑)。
でも、このようなドラマに出てくる用語を知っていることで、「下町ロケット」をより楽しむことが出来ると思います。
バックラッシュとは
歯車(ギア)に使用される用語で、噛み合う歯車同士に意図的に存在している「すきま」のことです。なぜ隙間が必要なのでしょうか?
そもそも歯車とは??
歯車を利用することで
- 動力を伝達することが出来ます。
- 回転数を変化させることができます。
例えば、回転の速度1/3にしたいとします。回転数を遅くしようとする訳です。
小さいギア(歯の数が20個)と大きいギア(歯の数が40個)を組み合わせます。
そうすると、小さいギアが3回転する間に大きいギアは1回転しか回りません。
小さいギア側の回転数を、大きいギアを利用することで1/3に落とすことが出来ました。これがギアによる回転数を変化させる原理です。
この回転数を変化させる比率のことを「速度比」と言います。
歯車にすきま(バックラッシュ)が必要な理由
バックラッシュ(スキマ)があることで、歯車の回転を滑らかにすることが出来ます。
全くすきま(あそび)がないものは、上手く動かないですよね。少し余裕があるからこそ、物は動いたり回転したるできるんです。
例えば、丸い穴に丸い棒を入れるとします。
全く同じ大きさですと、固まってしまって棒は回転しません。
でも、穴の方が少し大きいと棒は回転することが出来ます。
では、バックラッシュは大きければ大きいほど良いのでしょうか?
そういうわけではありません。
逆にバックラッシュが大きすぎると、振動が大きくなって機械の寿命が低下する原因にもなりかねません。このように、適度なバックラッシュを設定することが重要なのです。
「こんまいち」って何のことなのか?
結論から言いますと、
こんまいちとは
0.1mmのことです。
機械の寸法はほとんどの場合「mm(ミリメートル)」で表されます。なので「100の丸棒をちょうだい」というと「直径が100mmの丸棒をください」と言う意味になるわけです。
そして、”コンマ”というのは小数点を指します。
ですから「こんまいち」とは、
小数点の一つ下が”1”ですよ
と言っているわけです。
- こんまいち:0.1
- こんまに:0.2
- こんまさん:0.3 ・・・・などとコンマの後に数字を付けます。
じゃあ、0.01とか0.001はどう表現するの?
それでは、0.1よりも小さい数である0.01とか0.001はどう表現するのでしょうか?
以下は僕の経験です。参考にしてください。
- 0.01は「ひゃくぶんのいち」と言う人が多い印象を持っています(1mmの100分の1の数値だからです。)。0.09の場合は「ひゃくぶんのきゅう」と言います。
- 0.001は「いちまいくろ」「いちみくろん」と言う人が多い印象を持っています。0.001は1µm(1マイクロメートル)です。このような理由で、「みくろん」とか「まいくろ」とかいうわけです。0.005mmの場合は、「5ミクロン」などと言います。
下町ロケットについての記事を書いています
他にも下町ロケットの記事を書いていますので、参考にしてください。
下町ロケットには、このように専門家なら当たり前のように知っているけど、一般の方はよくわからない用語が出てくることがあります。例えば、下請法という言葉が出てきますが、一般の方にはなじみがない言葉ですよね。このことばの解説記事(下町ロケットで出てくる「下請法」っていったい何なの? 下請法を解説します)を書いています。
また、僕は下町ロケットが好きなので、「下町ロケットグッズ」を購入した話も記事に書いています(下町ロケットグッズ買いたいなら、ファッションセンターしまむらへ急げ(笑)!)。