生物濃縮に関する問題は、毎年出題されているわけではありませんが、かなり重要なポイントの一つです。これも押さえておくとよいでしょう。過去問をいろいろ調べてみました結果、「この問題が分かれば生物濃縮のほとんど全ての問題に対処可能」と思われる、よい問題を発見したので、その問題から生物濃縮について考えてみましょう。ちなみに、生物濃縮とは、環境中より高い濃度で生体内に有害物質が蓄積されていく現象のことです。
問 水域における生物濃縮に関する記述として、正しいものはどれか。
(1) 生物濃縮とは、生物が水から直接濃縮することをいい、食物連鎖を経て濃縮する場合には生物濃縮とはいわない。
(2) 生物濃縮係数は物質により異なるが、生物の種類には関係せず、すべての生物で一定である。
(3) 濃縮係数は、一般に水溶性物質で高く、脂溶性物質で低い。
(4) 難分解性で脂肪に溶けやすい性質を持った物質の濃縮比は、一般に食物連鎖の高位の消費者ほど高くなる。
(5) 生物濃縮とは、二段階以上の食物連鎖を経て濃縮することをいい、生物が水から直接濃縮する場合には生物濃縮とはいわない。
(1)は明らかに間違いですね。食物連鎖を経て濃縮する場合、さら濃縮されていく場合が多いです。例えば微生物→魚→人間といった具合です。
(2)は、なんか怪しいですよね。冷静に考えて、生物によって差があるほうが自然ですよね。
(3)これは全く逆です。水に溶けやすい物質は、尿などとなって排出されやすく濃縮性は低いでしょう。脂溶性のものは体内で脂肪等に蓄積されやすく、濃縮性が高いのです。
(4)は正しいです。食物連鎖の高位の動物が一番被害を受けます。だから、人間に被害が生じやすいんです。
(5)は間違いです。(1)の選択肢との兼ね合いからも明らかですね。
答え (4)
この問題の意味をばっちり覚えておいてください。きっと、生物濃縮に関わる問題が出ても余裕になるはずですよ。