「計算問題」という響きだけで嫌気がする方もいらっしゃるでしょう。しかし、公害防止管理者試験において最も点を取りやすいのはなんと「計算問題」です。計算問題はこつさえ覚えてしまえば、本当に簡単に解けてしまいます。今回は計算問題を解くためのテクニックを学習してみましょう。
そのテクニックのひとつは「単位操作」です。単位操作とは解答の選択肢に合うように(または計算しやすくするように)、問題文の単位を変化させるテクニックです。
では、まず例題
BOD 2mg/L、流量 5m3/Sの河川に、ある工場がBOD 800mg/L、水量 1200m3/日の排水を放流している。この放流地点から10km先でのBOD濃度(mg/L)はいくらか。
ただし、放流地点から10km先までに完全混合するものとし、自浄作用によるBOD減少率は8%とする。
(1) 0.39 (2) 3.9 (3) 4.2 (4) 39 (5)42
この問題では最終的な単位はmg-BOD/Lです。(mg-BODとはBODの量「mg」を指します。)
最終的にこの単位にすればよいわけです。mg/Lという単位は濃度の単位ですよね。
濃度は水質の問題では基本的に、物質の量÷水の量で求めることが出来ます。
まず、河川から流れてくる水と工場から流れてくる水の中に含まれているBODの総量(河川の中のBODと工場廃水の中のBOD)を求めましょう。単位はmg(BODという物質の量だから)になるはずです。これは物質の量(ここではBOD総量)を求めるためです。
問題文のmg/Lというのは濃度の単位なので、mgになおすためには容積の単位を掛けてやらなければなりません。
すると
河川については 2mg-BOD/L×5m3/S
工場排水については 800mg-BOD/L×1200m3/日
という式が出てきます。
しかし、ちょっと待ってください。これでは、時間を表す単位がバラバラです。
では、工場排水の流量の中の時間の単位の「日」を河川の流量の時間の単位の「S(秒)」にあわせましょう。(これが単位操作!!)
1日=24(h)×60(m)×60(s)=86400 S
ですね。
すると工場排水の量をm3/Sで表すと
1200m3/日×(1日/86400S)=0.014m3/S
になりました。
これでBOD総量が以下の式で表せますね。
BOD総量(mg)=(2mg-BOD/L×5m3/S)+(800mg-BOD/L×0.014m3/S)
これをトータルの水の量(L)で割れば濃度になるので
BOD総量÷(0.014m3/S+5m3/S)=4.2mg-BOD/L
となります。
これらは10km先までに完全混合し、8%減少するので、計算すれば、3.9mg-BOD/Lの(3)が答えになります。
* 5>>0.014なので事実上0.014m3/S(工場排水量)は上の式から省略できます。
* 数値の丸め方適当でやってます。
結構長くなりましたが、やっていることは簡単です。慣れてくれば一つの式で答えまで解けるようになりますよ。
続いての問題です。
工場が廃水処理によって90%の汚濁物質除去率を得ていたとする。これを改良して98%の除去率を得たとき、排出汚濁負荷量は何分の一になるか。
(1) 2 (2) 3 (3) 4 (4) 5 (5) 6
これはちょっと簡単すぎですね。単純に考えて(4)ですよね。
90%の汚濁物質除去率ということは、まだ、10%の汚濁物質が残っています。これが100-98=2%と減少します。このことから考えて、10%÷2%=5で、5分の1となります。
それでは、3問目です。
BOD2mg/L、毎秒5m3の流量の河川に、BOD500mg/Lの排水を日量800m3排出したとき、河川のBOD濃度(mg/L)はおよそいくらか。
(1) 2 (2) 3 (3) 4 (4) 5 (5) 10
正解 (2)
= 河川のBOD濃度 (mg/L) |
となります。ただし単位の扱い方には要注意。上の式は単位がバラバラで計算しにくので
単位の扱い方を考慮して上の式を表すと以下のように記す事ができます。
= | |
= |
これを解くと約3mg/Lとなります。
この手の問題は、単位にさえ注意していれば簡単に解く事ができます。答えのmg/Lにうまく単位をあわせるように計算すれば、ほとんど何も考えなくても解く事ができます。