技術士は高い年収であるべきか? の議論について

以前、僕は「平均年収の違いに愕然! アメリカのPEと日本の技術士」という記事を書きました。この中で示したように、技術士の年収はそれほど高くない。特に、外国の技術士相当の資格を持っている方と比較するとその差は歴然でした。

それで、技術士の中では「もっと給料の面で技術士資格は評価されてもいいよね」という意見があります。

しかし一方で、技術士たちの中には「好きな技術を扱っていられれば、お金などはどうでもいい」「社会貢献できていれば、お金は気にしない」というスタンスの方もおられるような気がします。

それが、本心かどうかは置いておいて・・・・

先日、いろいろな技術士の方と会話をさせていただく中で、

「技術士とお金」のことが話題になりました。

このことについての僕の意見を書いてみようと思います。

技術士の本分はなんだろうか?

技術士には「本分」があると思います。

もっとも社会から求められていることです。それは「何か?」と考えるときに、技術士法の第一条を思い出す必要があります。以下のように書かれています。

第一条 この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上国民経済の発展に資することを目的とする。

技術士法より

この記述からも分かりますように、技術士は「科学技術の向上」「国民経済の発展」に貢献することが期待されています。

このことから、お金や給料が多いとか少ないとかの議論の前に、

このミッションを大事にしなければ真の技術士とは言えない

ということを確認しておくべきではないかと思います。

お金(給料)が少なくても良いという意見

それで技術士さんの中であまり「収入を気にしない」「別に給料が少なくても気にならない」方の思考はどのような感じなのでしょうか?

崇高な目的があるから「お金はいらない」

先ほどの技術士法の1条の中にありますように、技術士は「科学技術の向上」「国民経済の発展」に貢献することが期待されています。非常に崇高な目的です!

技術士の中には、

このミッションが達成できれば「定収入でもいとわない!」

という方が結構おられるような気がします。

確かに、このミッションが達成できれば「技術士」としては何も間違ったことはしていない、そして「立派な技術士」と言えるかもしれません。

技術士会の活動としてボランティアだとしても、熱心に活動されている方がたくさんおられます。たとえ、無給であっても活躍されている方がたくさんおられます。僕自身も、そのような活動が大好きです。このような方々の気持ちもわかるような気がします。

楽しい(好きな)仕事ができれば、お金はどうでもいい

技術士の方には、

「楽しい仕事ができれば、お金はどうでもいい」

というタイプの方も結構おられます。

今の仕事が楽しい、そして同じような仕事を続けられるのであれば、給料は少なくてもかまわない・・・という方です。

本当に技術が好きなので、お金のことはあまり気になっていないようなタイプです。

技術士は高収入であるべきだ!

その一方で、「技術士は高収入であるべきだ」と考えられている方もたくさんおられます。

その理由としては以下のようなものがあると思います。

高い技術を持っているのでお金で評価されるべき!

技術士は技術系の資格の中で最難関とされています。

そして、確かに高い技術力、経験、倫理観が無いと取得できない資格です。

そのようなレベルの高い技術者は、高い給料をもらって当然!

という考え方です。これは非常に自然な考え方ではないかと思います。

技術士は夢のある職業であるべきだ!

技術士は非常に知名度が低い資格であると言われています。

確かに、僕も技術士ですが、技術士が入った名刺を渡しても、

「技術士って何ですか?」

と言われることが多くがっかりします!

でも、もしどうでしょうか?

技術士が高収入であれば、もっと「技術士」という資格が知られるのではないでしょうか?

技術士の仕事が高収入であれば、「夢」があるのではないでしょうか?

このように技術士が高収入で、夢があれば、技術士全体の価値が高まっていき、業界全体として高収益体質になっていく。そして、技術士の知名度も向上する! いいことづくめではないか? という考え方があります。

こういう方は、技術士の給料は高くあるべきだと考えます。

お金に困っていると倫理観の高い行動がとりづらい

技術士は高い倫理観を持っていることが求められます。

技術士がお金に困っていると「倫理観の高い行動がとりづらい」という意見があります。

例えば所属している会社や組織が倫理的にまずいことをやろうとしているとします。

技術士としてはそれを止める必要がありますよね。

しかし、それを止めようとしたときに、

「もしそれで経済的に不利益をこうむったらどうしよう」

「もしも会社と決別しなければならなくなったら、次の雇われ先が心配」

と経済的な面で心配があったらどうでしょうか?

倫理面での問題を指摘しづらくなることがあるかもしれません。

こういう面からも、技術士は高収入であるべきだ、良い仕事をたくさん与えられべきだという考え方があります。

私の意見は・・・、やはりお金は必要!

私の意見としては以下の通りです。

基本的には「給料が高い方が良い」と思います。

  • 技術士が収入が高いことが、技術士の知名度向上や、魅力出しにつながる。変な知名度向上活動よりもそっちの方がインパクトが大きい
  • 高い技術を持っている人には、相応の報酬があるべきだと思う
  • 技術士の給料の低さを嘆くだけではなく、「自分で自分の境遇を変えていける技術者」になりたい
  • 何より家族のためにお金が必要!!!

どうやって行けばいいのでしょうか?

僕は、以下のようなステップで少しずつ収入を増やしていきたいと思います。

これが、だれにとっても正解というわけではありませんが・・・

  • 技術的な視点のブログ書いて、アフィリエイトやポイ活などを通してちょっとした副業を始める
  • サラリーマンをしながら、技術士の資格を活かして人脈を広げたり、ちょっとした副業をやってみる
  • (経営工学の技術士の視点を活かして)投資を行うことで、労働によらない収入を増やしていく。
  • 上記でノウハウがつかめたり、一定の手ごたえができたら「独立」も視野に入れてみる

技術士こそしっかり「ポイ活」してみよう! その魅力を解説します

皆さんはどのように思われますか?

皆さんは「技術士とお金事情」についてどのように思われますか?

ご意見があられる方は、コメントよろしくお願いします。

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コメント

  1. えりとも より:

    “Alipayツアーパスの期限切れで更新できない!? 解決方法を見つけた!”を見てこの記事にたどり着きました。ツアーパスの期限切れの解決は本当にありがとうございます。2週間後に中国出張でどうしようかと焦っていました。
    この記事にある技術士・技術者の待遇については、個人的には高くあるべきと思います。私は中国以外にもいろいろな国に行きましたが、飲み屋でオネーサンと話をしている時に、必ず”あなたの職業は?”と聞かれます。”エンジニアだよ”と答えると、おおむね”それならすごい給料はいいのですね”と言われます。この時の給料がいいは、社会的地位が高いという意味も含まれています。今の日本の産業が落ち込んでいる最大の原因は、高い技能を持ったエンジニアに相応の地位と報酬が与えられないために、エンジニアを目指す人がいなくなってしまったことにあります。中国の技術レベルは、今や日本を越えている部分も多く、今後さらに発展することは間違いありません。それは、中国では、エンジニアの給料は非常に高く、若い人たちの目標の職業であるからです。今後の日本のことを考えても、技術士・技術者の報酬は高くあるべきですし、その社会的な地位もより高くすべきと切実に思います。

    • めたのさえた より:

      ご意見ありがとうございます!
      やはり、日本トップレベルの技術者が技術士であるなら、それに合った報酬を・・・というのは切実な願いです(笑)

  2. A太郎 より:

    金属部門の技術士です。
    記事を読ませてもらいましたが、「なぜ技術士の給料が高いと良いのか」というところまで深く考えられていて面白い記事だなと思いました。

    私も今まで漠然と「難しい資格を持っているんだし、給料が高い方がいいよなぁ」とは思っていましたが、そこまで深掘りして考えてはいませんでした。
    そんな状態でしたから、記事の中で「お金に困っていると倫理観の高い行動が取りづらい」という考えを見て目から鱗の気分でしたね。

    他にも「自己研鑽するにもお金が掛かるから」というのも考えに入れられそうですね。
    ということで、私も「技術士の給料は高い方が良い」に同意します。

    • めたのさえた より:

      「お金に困っていると倫理観の高い行動が取りづらい」というのはあるフォロワーさんから教えていただいたのでした・・その時、私も、「その通りだ!」 と感じました。

  3. 腹八分 より:

    技術士(化学部門)のエンジニアです。
    学生時代に、毎日新聞の“理系白書”という本を読みました。理系は好きなことやって給料が安いのは当たり前、文系を見てみろ、いやな仕事ばっかりやってるよ、的な内容だったように思います。
    でも、時代が変わってますから、独占業務資格、高給与という前提がないと、誰も技術士になろうなんて思わないのでは?志しだけでは、今の世の中限界では、と思います。だって、資格試験なんぞに時間を割く余裕のない、技術士ではない、いい仕事してるエンジニアは山ほどいるし、そのエンジニアと技術士を比較して(給与、名誉、実力)で劣っているとは全く思いません。建設部門以外で技術士になる≒第三者からの承認が欲しい承認欲求、の様にさえ思います。
    じゃによって、高給与が前提となる、技術士に変わるプロのエンジニアたる独占業務資格が必要なように思います。戦後復興とは明らかにPhaseが違うのですから。

    • めたのさえた より:

      独占業務が必要という意見が多いですよね。
      楽しければ、とか、志だけではだめで、やはり収入も必要ですよね。