「活性炭吸着」に関するまとめ(廃水処理分野)

この記事では「公害防止管理者試験」で出題されれることのある、廃水処理分野における「活性炭吸着」についてまとめています。

活性炭って何だろう

活性炭はWikipediaによると、以下のように説明されています。

活性炭(かっせいたん、英語 activated carbon)とは、吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理(活性化、賦活)を施した多孔質の炭素を主な成分とする物質である。 例えば、特定の物質を選択的に分離、除去、精製するなどの目的で用いられる(Wikipediaより)。

墨を原料とした、多孔質(微細な穴がたくさんあいている)な物質と理解していただけると良いと思います。

このため比表面積(重さ当たりの表面積)が700~1,400m2/gと非常に大きい構造です。

この比表面積の広さが、活性炭の吸着性を劇的に高めています。活性炭の顕微鏡写真などが活性炭メーカのカタログやホームページに掲載されていることがあります。これをご覧いただくと、イメージがわきやすいと思います()。

また、一口に「炭」といっても材質は木質系と石炭系に、形状が粒状のものと粉状のものに分けることが出来ることも覚えておきましょう。

廃水処理上の一般的な特徴を以下に示します。

  • 疎水性で分子量が大きい物質が吸着しやすい
  • 水質が酸性の場合に、吸着されやすい

私が活性炭と聞けば「公害防止管理者の分野」での利用を想像してしまいますが、活性炭は様々な分野で利用されているようです。医療的な利用方法さえあるみたいですね(例えばこんな例)。

活性炭って面白い技術ですね。

重要! フロイントリッヒの式

吸着材の性能を示すときに、フロイントリッヒの式がよく使われます。

X:吸着量(mg/g)

C : 平衡定数(mg/L)

k,n : 定数

活性炭の吸着量と平衡濃度の関係(吸着等温線)

上のフロイントリッヒの式で出てきた、平衡濃度の対数を横軸に、縦軸を吸着量の対数としたグラフのことを吸着等温線といいます。

このグラフの傾きが小さくなるものが良好な吸着材であると言えます。

なぜなら、傾きが小さいと言うことは「どの平衡濃度でも一定の吸着量が確保されている」と言えるからです。傾きを小さくしようとすると、フロイントリッヒの式の定数kが大きく、nが小さいことが求められます

吸着速度について

以前、僕が利用していたSATさんの教材では、吸着速度速度について以下の3つを覚えておくと良いとありました。

  • 液境界膜の総括物質移動係数
  • 活性炭充てん単位容積当たりの表面積(比表面積)
  • 水中の物質濃度と平衡濃度の差

が大きくなるほど吸着速度は大きくなる。

SATさんの教材より:現在は絶版)

このことを覚えておけば吸着速度にかかわる公害防止管理者の問題には対応できそうです。

破過とは

ずっと吸着させつづけた活性炭は、ある時点で吸着が出来なくなり吸着されていた物質でさえ流出されるようになってきます。この現象を破過といいます。

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コメント

  1. Kuro chan より:

    いつも大変興味深く読ませて頂いています。
    フロイントリッヒの式は公害防止管理者試験には頻出していますね。以前の受験時には勉強しました(現在、水質関係第1種です)。
    もし、ご存じでしたら教えて頂きたいのですが、ブログで示されているフロイントリッヒの式の定数である「n」は資料(参考書)によっては「1/n」と記しているものが多いです。産環協のテキストは「n」なので、「n」値は小さい方が良いと記憶しましたが、記載の方法はどちらがただしいのでしょう?また、何か意味があるのでしょうか。以前から疑問に思っており質問した次第です。